ボーク重子「非認知能力」教育に大きく舵切る、京都市立開建高校を総力取材 「80人が一緒に学べる教室」で、生徒の目が輝く

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

重子:とはいえ、ここは公立校じゃないですか。先生たちは、今までそういうふうに教えてはこなかったのに、いきなりそのやり方を実現するのは大変ではなかったですか。

放課後、教室に集まっていた高校1年生と先生での撮影。生徒と先生の距離が近く、会話が途切れない。「毎日授業が楽しい!」「新校舎に行くのが楽しみ」と、明るい生徒たち

宮越:正直言うと、全然まだ完成形、最終形ではないんです。僕の中では5年くらいかかってできたらいいなと思っています。今はまず、いろんな挑戦をしてみたいと。それで、これはいけるかな、これは難しかったなど、トライしてフィードバックしてみる。PDCAじゃなくて、うちはDCAPと言っているのですが、とりあえずやってみてフィードバックを受けて、変えていく。よかったら、もっとよくしていこう!という形でやっています。去年の学校説明会でも、一緒につくって、一緒に改善していきましょうという話をさせていただきました。

旧校舎の校門前で撮影。新しい校名も力強い

重子:だけど教育委員会などから反対はなかったのですか?

尾崎:いちばん大きいのは、教育委員会も腹をくくって新しい教育をやっていこうという思いを持っていただけたことだと思っています。われわれ学校関係者だけではなくて、一緒に思い切ったこと一緒にやろうじゃないかと。京都の教育というのは、今まで本当に先進的にいろんなことをやってきたのです。

重子:それ最高! まさに非認知能力を育む教育の基本中の基本「モデリング」ですね。先生たちが試行錯誤しながら進んでいく姿を見て、生徒たちも「やってみよう」「うまくいかなければ解決すればいい」と勇気が出るし、どうやって解決していくのか、その方法も先生たちの姿から学ぶことができます。先生にとっても生徒にとっても最高に自己肯定感と自己効力感そして主体性がものすごく高まる理想的な環境だと思います。保護者の方の反応はどうでしたか?

宮越:高校なので、選択はできるわけです。そのため説明会では、もし、知識をずっと与えてもらう従来型の教育で伸びていく、そういうお子さんで、保護者の方もそういう教育を望まれるのであれば、うちの学校じゃなくて違う学校を選んでほしいと伝えてきました。また、うちはこういう学校なので、ぜひ保護者の方も一緒に学校づくりに参加してほしい、一緒に新しい教育をつくっていきましょう、というお願いをしてきました。

重子:開建高校をモデルに、全国にこんな教育が広がっていけばいいなと思います。非認知能力の高い生徒たちが、日本の素晴らしい認知教育で得た知識を使っていく。これ以上素敵なことってありません。

宮越:そうですね。ありがたいことに、文部科学省の指定を受けてこの事業やっているので、ほかの学校からも視察に来ていただくこともあり、みんなで変わっていければという思いはあります。

重子:「知っている」と「やっている」はまったく別物。激変する時代だからこそ教育を変えていかなきゃいけない。それはみんな知っている。だけどじゃあ改革やっているの?となると、やっている人は本当に少ない、いない。だからこそ開建高校はすごいと思います。最高に応援しています!

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事