「不登校」や「うつ」とも関連、発達障害のある女の子の「カモフラージュ」とは? 早期から過剰適応、9歳ごろまでの対応が大事

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強いて言うなら、身体症状はキャッチしやすいでしょう。頭痛や腹痛、「ノートを取っていると目がチカチカする」など、身体症状を訴えるようになったら要注意。ただし、担任の先生が「大丈夫?」と聞くと、「大丈夫」と言ってさらにカモフラージュを強化してしまうので、養護教諭やスクールカウンセラーと連携することをお勧めします

ASDの子たちは疲れ切っていても頑張り続けるため、ある朝急に力が入らない、全身の筋肉が痛くて起きられないといったこともあり、そこから不登校につながるケースが多いです。身体症状をキャッチしたら、一時的にゆっくり休める空間や時間を確保してあげてください

──そのほか、教員や保護者が注意しておくべき異変はありますか。

発達障害のある男の子の場合、幼児期から多動やこだわり、友達とのトラブルが出てきますが、女の子は怒られないよう過剰適応しているのでそうした問題は目立ちません。しかし、丁寧に見ていくと、睡眠の乱れや偏食、感覚過敏から服が着られない、疲れ切って帰宅して家で暴れる、敏感すぎて眠れないなどの状況が明らかになることがあります。9歳くらいまでの早期発見と対応が大事だと思います。

とくに見落としがちになるのが、睡眠障害。心配な状況なら早めに児童精神科に相談しましょう。しかし、児童精神科が少ない地域もあります。最近は感覚過敏や睡眠障害に対応してくれる小児科医も増えつつあるので、地域の保健センターなどに相談してみるのもいいかもしれません。

──学校の教員は、居心地のよい学級をつくることが大切になりそうですね。

発達障害のある子にとってつらいのは「みんな一緒」。不安が強い子は「みんな一緒=一人はダメ」だと感じてしまうのです。ただ、元気になるとみんなと一緒にいたがることもあります。

そこで、私たちの自助グループでは多様性と自由に考えることを大事にし、「みんなと一緒でも一人でもいいんだよ。今日はどっちがいい?」と本人に判断を委ねるようにしています。「本人に判断を委ねる」という視点を学校の先生にも持っていただけると、当事者の方はそれだけで楽になると思います。

(文:吉田渓、注記のない写真:ノンタン/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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