「不登校」や「うつ」とも関連、発達障害のある女の子の「カモフラージュ」とは? 早期から過剰適応、9歳ごろまでの対応が大事

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発達障害のある子は何事も一生懸命ですから、カモフラージュも一生懸命やってしまいます。しかも、日本の教育は「何事も頑張れ」ですから、「こんなときは休んでいいよ」「一時的に逃げていいよ」など、回避スキルを教えることも大切です。

また、障害の特性よりもその子のストレングス、つまり強みを早期に見つけてどう生かすかを考えることも重要です。そして、友達ではなく「仲間」をつくること。学齢期の女の子は、友達に「一緒にトイレに行く」「同じ服を着ていないとダメ」といったことを求めがち。こうした関係性は、ASDの子にとっては最悪です。

一方、仲間は「好きな趣味について話すときだけ集まって、あとはフリー」という関係。これを早いうちから教えると、オンとオフを使い分けられるようになります。

難しいのは学校での過ごし方ですね。ASDの女の子は「トイレは一人でゆっくり行きたい」とよく言います。一人で読書をしていると、先生に「みんなと元気に遊んできなさい」と言われたり、一人でお弁当を食べたいのに先生に無理やりグループに入れられてしまったり。男の子の場合は一人でも「大丈夫です」と言えば先生もさっと引くのですが、女の子の場合は心配される傾向にあります。

──限界まで我慢せずに自己調整できるようになるにはどうすればよいでしょうか。

私はカウンセリングの場で、アセスメントを基に「身体がこういう状態になったら休もうね」と、身体からのサインのキャッチの仕方を教えています。

とくにASDの女の子は感覚過敏が強い傾向にあり、疲れやすい。けれど、身体感覚や疲れのキャッチが得意でないため、「課題を頑張りすぎて寝不足でふらふらになっても学校に行く」「むくみや偏頭痛に気づかない」といった状態になりやすいです。

さらに、月経を迎えると、身体の不調の原因が月経痛なのかストレスなのか、捉えにくくなります。そこで、女性のASDの方は基礎体温をつけることも有効です。月経周期を可視化することで本人が身体の変化をキャッチでき、理解しやすくなります。

養護教諭などと連携を、「本人に判断を委ねる」視点も大切

──学校の教員ができる支援はありますか。

担任の先生がカモフラージュを見極めるのは無理だと思います。担任の先生は評価する側の人なので、お子さんはどうしてもカモフラージュしてしまいます。私はいろいろな学校に出向いてクラス全体を支援することが多いのですが、女の子はASDに限らずみんな担任の先生に対してうまくカモフラージュをしていますよ。

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