なぜリーダーは「失敗」を認められないのか リチャード・S・テドロー著/土方奈美訳
「現実を見誤るのではない。現実を直視しないのだ」。経営に信じられないことが重なると、不都合な真実を受け入れない「否認」に陥る経営者が少なくないという。これでは、避けられたはずの失敗も、また当然避けるべきであった失敗も、回避できない。
本書によれば、この結果、一時代を築いた米国企業が凋落していった例は枚挙にいとまがないという。悪い情報を遮断した(ヘンリー・)フォードをはじめ、ラジアルタイヤの出現で業界構造が一変したタイヤ業界の寡占4社、シカゴに摩天楼を築いたのもつかの間、Kマートに買収されたシアーズなど、否認起因の「凋落ストーリー」は読む者を魅了する。
著者はハーバード・ビジネススクールの著名教授。40年のケースメソッドから選び抜いた事例だけに、復活のIBMをはじめ、まとめられた「8つの教訓」も説得力十分だ。問題は人か組織か。結局、リーダーに尽きるとのご託宣。
日本経済新聞出版社 2100円
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