「脱・水戸岡」?JR九州、転換期の鉄道デザイン戦略 社長が明かす「新デザイナー起用」の意図は何か

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古宮社長と水戸岡氏
JR九州の古宮洋二社長(左)と水戸岡鋭治氏(記者撮影)
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新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機に、全国的に観光が盛り上がっている。JR九州は「D&S(デザイン・アンド・ストーリー)列車」という観光列車をさまざまなエリアで走らせているが、コロナ禍の間は低い乗車率に甘んじてきた。それだけにコロナ後の観光列車戦略には力が入る。

しかし、現在のところ、各地を走る観光列車の利用状況は列車によってまちまちだ。たとえば熊本―三角間を走る「A列車で行こう」。目的地の三角では天草松島に向かうクルーズ船と接続しており観光要素もたっぷりある。にもかかわらず、その乗車率は4月が26%、5月が42%と低迷している。

JR九州の古宮洋二社長は、「テコ入れが必要だ」と話す。運行距離が短く乗車時間がわずか50分程度。せっかくの車中旅を満喫しきれないのがネックとなっている。そこで、対策の1つとして博多発着にして乗車時間を延ばすことが検討されている。熊本よりも乗降客の多い博多を発着駅とすることで、利用客の引き上げを図る。昨年8月2日には博多―熊本―三角間の特別運行を実施している。

【2023年6月12日16時35分 追記】記事初出時、「A列車で行こう」特別運行の記述に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

博多―由布院・別府間に新観光列車投入

一方で、回復著しいのが博多と由布院・別府エリアを結ぶ「ゆふいんの森」。週末や連休中のみの運行に限られる観光列車もある中、ゆふいんの森は平日も含む毎日運行。しかも1日3往復しているにもかかわらず、直近の乗車率は4月78%、5月80%と回復傾向にある。この区間を走るのは観光列車だけでない。特急『ゆふ』も運行している。「ゆふいんの森だけでなく、特急ゆふも多くのお客様を乗せて走っている」と古宮社長が満足気の表情で話す。

さらに、それまで大分―日田間や佐世保―長崎間などを運行していた「或る列車」は2021年11月から博多―由布院間を運行するようになり、こちらも好調という。

或る列車
お披露目時の「或る列車」=2015年(撮影:今井康一)
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