子どもの摂食障害、「やせ願望」なくても発症する回避・制限性摂食障害の原因は 脳の萎縮や多臓器に影響する前に早期発見を
摂食障害の子どもに学校はどう配慮すべきか
──担任や養護教諭が気づいた場合、どのようなアクションを取るのがよいのでしょうか?
本人は病気だという自覚がないので、直接伝えると避けられてしまうおそれがあります。まずは親御さんに事実を伝えるのがよいでしょう。小・中学生なら、最初はかかりつけの小児科医を受診するのがお勧めです。小児科以外でも、無月経で産婦人科を受診して摂食障害がわかるケースや、過食症による胃酸過多で虫歯が増え歯科医が気づいたケースもあります。
──治療中の子どもには、学校としてどんな配慮をするとよいでしょうか?
摂食障害は入院すればいいというものではありません。その子を支援する人が周りにたくさんいたほうがよいですから、学校にはできるだけ行ってほしいと考えています。しかし、やはり行動制限はありますから、学校と医療機関との連携は重要です。「病院が許可できる範囲で体育の授業に参加する」「給食を残してもよいと認める」「弁当の持参を認める」「保健室での食事を認める」など、細かい配慮をしていただけると、本人も登校しやすくなるでしょう。
──デジタル機器の普及などで、子どもたちがいろいろな情報に触れる機会が増えています。声がけなどで気をつけるべき点はありますか?
やせていることを礼賛する文化と、それを伝えるマスメディアやS N Sの影響は大きいですね。「#摂食障害」で検索すると、摂食障害を維持する方法や吐きやすい方法、やせたという自慢がたくさん出てきます。中にはどの病院でどんな治療をされたかまで書き込まれており、患者の子どもたちもそれを見ているのです。私たちもSNSなどをチェックして子どもたちが触れている情報を把握したうえで、心理教育として正しい情報を教えるようにしています。
若い女性の多くは自分の体について「やせなきゃ」と言いますが、みんなが摂食障害になるわけではありません。摂食障害になる子は自信がない子や頑張り屋さんが多く、他人に「やせたほうがいい」「脚が太い」などと言われてダイエットを始めることがあります。小さいうちから、「人の体型を否定すべきではない」と家庭や学校でしっかり伝えていく必要があるでしょう。
摂食障害情報ポータルサイトには「学校と医療のより良い連携のための対応指針」の小学校版・中学校版・高等学校版・大学版がそれぞれ公開されています。学校の先生方にはぜひこちらも参考にしてください。
(文:吉田渓、注記のない写真:Komaer / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら