独自ファンドに手応え、鎌倉市教育長・岩岡寛人が「社会との連携」で得た成果 「個性」や「学習特性」を重視した不登校支援も

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具体的には、子どもの関心領域や認知・学習特性をアセスメントし、その結果に応じて、一人ひとりに合った学び方で探究ワークショップを実施。その後、学びの成果発表会を開催し、大人からフィードバックを受けることで子どもの自立の基礎づくりにつなげていくという流れになっている。

アセスメントのイメージ
(資料:SPACE提供)

参加者からは「自分の取扱説明書がわかった」「不登校でも社会は受け入れてくれるんだということを感じた」などの声が寄せられており、中には学校に楽しく通えるようになった子もいるという。

「2025年に市内で開設予定の不登校特例校(中学校)でも総合的な学習の時間において、ULTLAを活用する予定です。市内の公立小中学校でのULTLAの横展開も視野に、拠点化を図っていきたいと考えています」

今後の鎌倉市の教育課題と展望についてはどのように捉えているのだろうか。

「私の今期の任期は7月までとなっていますが、まいた種が花を咲かせるところまではきたのではないかと思っています。これからは市内のあらゆる学校で、多様で柔軟な実践がもっと広がっていくこと、また、新たな実践が持続的に生まれていくような組織・環境づくりが取り組むべきポイントではないかと考えています」

最後に、日本の教育行政のあるべき姿について、どう考えているのかを聞いてみた。

「あるべき教育行政の姿は今後もどんどん変わっていくと思います。ただ、学校教育の観点から言えば、子どもたちの現在と未来の視点に立つことが大切だと考えています。子どもたちは将来幸せになるだけではなく、今幸せでなければなりません。そのためにも、今後もさまざまな連携や取り組みを実践しながら、教育、そして教育行政について考え続けていきたいと思っています」

岩岡寛人(いわおか・ひろと)
鎌倉市教育委員会教育長
兵庫県出身。東京大学教育学部卒業後、2008年文部科学省に入省。文科省初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室専門官、文科省大臣官房総務課行政改革推進室室長補佐、文科省初等中等教育局幼児教育課専門官を担当。在任中、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)公共政策大学院で公共政策学修士を取得。20年8月より現職
(写真:鎌倉市教育委員会提供)

(文:國貞文隆、注記のない写真:今井康一撮影)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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