小2で単身中国留学した起業家・平原依文さん、「教育で社会を変える」の真意 目指すのは「世界中の境界線を溶かす」こと

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「私が実現したい教育は日本にありません。だから起業して教育を変えていきたいという思いで会社を立ち上げました。教育分野での日本の課題は大きく3つあると考えています。1つ目は、答えを出す教育を求めすぎていること。問いを通じて考える教育をもっとすべきです。2つ目は、先生たちの時間の使い方。事務的な仕事が多すぎて、生徒と向き合う時間が取れないという先生がたくさんいます。3つ目は、どう伝えるかより、何を伝えるかという教育をもっとすべき。伝えたいことが明確になっていないと、言葉がどんなに流暢でも、相手に伝わりません。これは自己肯定感を上げるためにも大事です」

WORLD ROADでは、「地球を1つの学校にする」を掲げ、196カ国をつないだコミュニティーをつくり、学びの場を提供してきた。HIでは、学校や企業向けにSDGsをテーマとした講演や研修事業などを展開している。起業当初は、学生の延長線上で行っているボランティアと見られることもあったというが、国境や人種、世代など「世界中の境界線を溶かす」というビジョンをどう事業化するのかに真剣に向き合ってきた。徐々に理解者を増やし、今では研修事業の売り上げのうち3割を学校や子ども食堂に寄付している。

学校での授業の様子。環境問題や貧困など、SDGsをテーマに世界各国の課題、その課題解決について学ぶ

将来はニュージーランドに学校をつくる

昨年から参加している内閣府の教育未来創造会議でも、積極的に提案を行っているという。

「次代を担う人材の教育について語り合う会議なのに、メンバーに学生は一人もいません。現役の学生が何を課題とし、何を欲しているのか、対話しなければ結局、大人の考えを押し付けることになってしまうのではないでしょうか。日本からの留学生や海外からの留学生を増やすことも大きなテーマになっていますが、海外の留学生はメンバーにいません。もし第3次提言が設けられる機会があれば、当事者を巻き込んだ対話も検討していけるとよりいい教育への未来創造につながると考えています」

日本で海外留学に行きたがらない学生が多くなっていることについて、そもそも「留学に行くハードルが高すぎる」と平原さんは指摘する。英語という言語に対するハードルと、お金がかかるという2つのハードルだ。

「日本人は文法などを気にしすぎ。文法が多少間違っていてもなまりがあっても、自分の言いたいことが伝わればいい、そう思えば少しは余裕が出てきて楽しくなります。また留学にはお金がかかりますが、海外留学生向けの奨学金制度や、留学を支援している企業は結構あります。オプションがたくさんあるのにそれが可視化されていないことにも問題があると思います」

こうして、さまざまな人との出会いを原動力としながら、多くのことに挑戦してきた平原さんだが、HI合同会社の代表も2年半後には退任することを宣言している。

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