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製薬企業モデルナが納税者を食い物にした必然 収益の私有化、技術共有を拒む体制

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バーニー・サンダース委員長
バンセル氏に不当な値上げを問い詰めるバーニー・サンダース委員長(写真:Al Drago/Bloomberg)

新型コロナワクチンの価格を4倍に引き上げた理由を説明せよ──。先日の米上院厚生教育労働年金委員会で、バーニー・サンダース委員長がモデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)を問い詰める様子は政治ドラマとしてはかなりの見ものだった。

モデルナのワクチン開発は納税者に支えられたもので値上げは不当とするサンダース氏の指摘は正しい。だが、モデルナが値上げしてくるのは最初から予想できたことだ。筆者が2020年3月に警告したように、製薬企業はいつだってパンデミックのような危機に乗じて荒稼ぎし、米国の納税者が食い物にされてきた。壊れた仕組みを正さない限り、そうした状況はこれからも続いていく。

新型コロナパンデミックの初期段階で米政府は、「公正なアクセス」といった公益原則を政府によるワクチン投資の基本に位置づけることで、強力な予防線を張ることもできた。ところが、米政府は現状維持を選び、その結果、私たちは予期できた結果を目にすることとなっている。モデルナは利益と株主価値を極大化するべく、あらゆる手を駆使し、公衆衛生を犠牲にすることもいとわない。だが、同ワクチンの開発はそもそも同社が単独で成し遂げたものではない。

次ページ問題は収益の「私有化」にとどまらない
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