国際社会で「法の支配」や「自由・公正なルール」を掲げる日本だが、はたして、そう胸を張れるのか。
日本の外交が国際規範の順守をスローガンに掲げている。
例えば、3月のインド訪問で岸田文雄首相は、「法の支配」や「自由で公平・公正な経済秩序」の重要性を強調した。
今年1月に米ワシントンで開かれたバイデン大統領との日米首脳会談でも、共同声明にこんな一文が盛り込まれた。
「自由で公正でルールに基づく経済秩序を支えていく」
当然、中国を意識した記述だが、「ルールを守れ」という側はクリーンハンドであることを要求される。そうでなければ「盗っ人たけだけしい」と批判されてしまう。
では日本は「国際ルール順守」を連呼できるのか。経済面での小さなほころびが気になる。
日米の「薄汚いFTA」
発端は2019年。「日本は自由貿易の旗手を目指す」と豪語していた安倍晋三首相(当時)が、トランプ大統領(同)と日米貿易協定締結で合意した。事実上の自由貿易協定(FTA)だが、協定締結直後からこんな疑問が表明されていた。19年10月の衆議院予算委員会での一幕。
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