『塔の上のラプンツェル(TANGLED)』--元気になるアメリカ映画とマーケティング《宿輪純一のシネマ経済学》
東日本大震災で被災した方々に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
本作品はディズニー長編アニメ第50作記念映画である。ディズニーは、それまでも外部の物語を取り入れてきた。長編アニメの中でも1作目の『白雪姫』(53=グリム童話に振られた作番)、『シンデレラ(灰かぶり)』(21)、そして49作目の『プリンセスと魔法のキス(蛙の王様)』(1)、そしてこの『塔の上のラプンツェル(ラプンツェル)』(12)ということである。
”TANGLED”(L-R) Rapunzel, Flynn(c)Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved. (c)Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
もともとグリム童話は、「赤ずきんちゃん」のようにやや残酷であったり、激しい部分があったりするが、ディズニーに取り入れられたときに子供向けに問題がないように修正された。本作も同様である。
さて、本作であるが、ヨーロッパのある王国の森の奥深くの高い塔の上に、ラプンツェルという美少女が幽閉され暮らしていた。ラプンツェルは育ての母親であるマザー・ゴーテルから、生まれてから18歳(!)になる現在でも塔の外に出ることが禁じられていた。金色の髪の毛は一回も切ったことがないようで、数十メートルにもなっていた。
当然の話だが、彼女は外の世界に興味を持ち始め、自分の誕生日が来ると遠くの空に現れる、無数の灯りの正体を知りたくて仕方なかった。
ある日、城から王冠を盗み出した若い泥棒フリン・ライダーが、衛兵に追われて森の奥へと逃げ込んできた。フリンは追っ手を振り切り、塔を見つけ壁をよじ登って侵入する。しかし、逆にふがいないことにラプンツェルの長い髪に捕らえられてしまう。ラプンツェルはフリンを解放する条件として、彼に誕生日に現れる「灯り」の場所まで案内させることを約束する。
マザー・ゴーテルの命令に背いて、脱出したラプンツェルは、初めて見る世界に胸を躍らせ、本当にうれしがる。帰ってきたゴーテルは、ラプンツェルの不在に気がつき、彼女を捜し始める……。