「ミスターJGB」が語る日本国債発行に潜む難所 過度な懸念は不要も唯一避けたい危機は何か
──日本の長期金利は上昇方向にあり、国の一般会計予算の利払い費では歳出増による予算圧迫要因となります。国債発行業務に対してはどんな影響を与えるのでしょうか。
われわれが行っている国債管理政策は、かなりの部分が「受け身」である点を理解してもらう必要がある。
そもそも国債をいくら発行する必要があるかということは、予算編成過程で決まってくるものだ。また発行金利についても、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)やそのときどきの金融政策、国内外の金融マーケットの状況から決まる市場実勢に即して決めている。
われわれは、それらを所与の前提としたうえで、必要な規模の国債発行を確実に実施し、さらにできるだけ低いコストでそれを行うことが求められている。
社債発行や住宅ローン変更のような融通性はない
──「受け身」というのは、わかりやすいキーワードです。
国債には1年までの短期債のほか、利付国債では2〜40年と償還年限の長短がある。超長期(20年債、30年債、40年債)は生命保険会社や年金基金、中期(2年債、5年債)は銀行などの預金取扱金融機関といったように、年限によって主たる投資家層は変わってくる。投資家の需要状況を勘案して、それぞれの年限ごとに需給を崩さないよう発行の配分を決めていくことがポイントとなる。
発行額が多いため、国債発行においては「金利が上がったから資金調達を一時的に見合わせよう」とか、「低金利だから長い年限を多くしよう」とかいったような企業の社債や個人の住宅ローンと同じ行動は取れない。発行計画に則って、年12回、毎月同じ金額を粛々と入札している。足元で金利が以前より動くようになったからといって、直ちに国債発行に影響が出ているわけではない。
──そうした中でも何らかの変化はありますか。
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