学校の当たり前に風穴、めがね旦那先生「教育観のアップデート」に必要な視点 なぜおかしいと思っていても変えられないのか

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子どもの笑顔のために毎日9時間していること

「子どもの反応を見て、子どもの話を聞く」。その繰り返しで教員は成長する、とめがね先生は言う。しかし、教員も人間だ。つねに冷静に何十人もの子どもたちを大事にできない瞬間もあるのではないだろうか。

「だからこそ、僕は身体感覚を意識するようにしています。以前、子どもたちに『先生に怒られるのはどんなとき?』と聞いたら、ある子が『先生がイライラしているとき!』と答えたんです。同じことをしても、怒られるときと怒られないときがあって、先生がイライラしているときは怒られると。それはそうだなと思いました。睡眠不足や二日酔いはパフォーマンスに影響する。それ以来、9時間くらい寝るようにしたら、ご機嫌でいられるようになりました。先生がニコニコしていると子どもも自然とそうなるんですよね」

めがね先生のクラスには、前年度に不登校だった児童がいたが、今は学校に通っているという。「子どもを変えようとするより、自分の体調と機嫌を重視するほうが近道だ」と、めがね先生は話す。一人ひとり違う子どもに決して一律の答えはなく、伸びる子どもを支える方法は個別支援しかないと考えているからだ。

だが、「おかしい」と思っても変えられないこともたくさんある。その1つが「宿題」だ。最近では、校長の強力なリーダーシップで「宿題を廃止した」という学校も出てきているが、学内外からの反発や多くの調整を経て初めて実現することなのだろう。

「公立学校で教育をする以上、制限はあります。また保護者は、僕らを信頼して子どもを預けてくれるわけですから、保護者の支援なしに教育はできません。僕自身は、本当は宿題をなくしたい。でも保護者から『宿題がないと学力が落ちるのでは』と言われることがあります。そんなときは、宿題をなくすのではなく、量を自分で決めることができるように子どもの自己裁量の割合を増やすとか、折衷案を出すようにしています。保護者、子ども、自分といろんな方向にベクトルを向けてバランスを取ることも大切ですし、そうしているからこそ今も教員を続けられているのだと思います」

「学校の当たり前」とやり過ごしていたものに目を向ける。物事を単純化するのではなく、自分で考える。その都度、周囲と話し合う。それが本当に必要なのは、もしかしたら大人のほうなのかもしれない。先生や保護者一人ひとりの教育観が少しずつでも変わることが、教育のアップデートにつながっていくのではないだろうか。

(文:吉田渓、注記のない写真:izolabo / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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