住友化学、利益1000億円が消える下方修正の背景 石油事業のリスクあらわに、構造改革費用も

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住友化学は3カ月前、今期の業績予想で1000億円超の営業利益と最終利益を見込んでいた。それが、ごく短期間で事態は一変した。背景には何があるのか。

住友化学 ペトロ・ラービグ
サウジアラビアにあるペトロ・ラービグ社のプラント。同社の業績は乱高下している(写真:住友化学)

「この事態を重く受け止めており、責任を感じている」

総合化学メーカー大手の住友化学は2月1日、2023年3月期の業績予想を大幅下方修正し、営業利益と最終利益が共にゼロになりそうだと発表した。同日、メディア向けのオンライン決算説明会に臨んだ岩田圭一社長は、厳しい表情でそう話した。

今回発表した第3四半期累計(4~12月)の営業利益(IFRS基準)は714億円だったが、ここには第3四半期に計上した北米でのパーキンソン病治療薬の不振に関する543億円の減損が含まれる。一時的な損失(非経常項目)を除いた本業の実力であるコア営業利益は1421億円だった。

本業は第3四半期には既に失速気味だったが、第4四半期はかなり厳しくなりそうだ。コア営業損益で222億円の赤字の見通しという。加えて非経常項目で492億円の損失を見込む。計714億円の営業損失となり、第3四半期までの累計の利益をすべて吹き飛ばす計算だ。

2022年10月末時点では、2023年3月期の営業利益は1150億円、最終利益は1050億円の見通しだった。わずか3カ月でまれに見る急降下になったのは、なぜなのか。

石油関連事業の大誤算

業績急変の背景には、石油化学製品や石油精製品を手がけるエッセンシャルケミカルズのほか主力事業の環境の悪化と、それに堪えることができない事業構造にあるようだ。

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