素材大手のAGCは、最高益予想から一転減益予想へ急激なアップダウンを経験した。背景や地政学リスクを聞いた。
値上げも数量回復も2023年から利く
――2022年12月期は最高益予想への上方修正のわずか3カ月後に減益予想へと大幅下方修正に追い込まれました。
下方修正の要因の1つ目は塩ビ樹脂で、想定していたよりも市況がかなり落ちてしまったことが響いた。2つ目はディスプレーで、(顧客の)大幅な減産が始まった影響だ。3つ目は自動車向けのガラスで、ヨーロッパを中心とする世界的な原燃材料の高騰がかなり響いてしまった。自動車の生産台数が戻り、ガラスの販売量も戻ってきたので固定費(の負担)はだいぶ薄まった。本来、それで第3四半期(7~9月)頃には利益が戻ると思っていたが、そうはならなかった。
また、建築向けのガラスのほうは、エネルギーサーチャージ(原燃料価格の上下が自動的に販売価格に反映される仕組み)があるが、そのカバー外のところで電気代が歴史的な高値になり、利益を圧縮した。需要自体も若干、弱くなっている気配がある。
――車向けガラスの値上げ状況は。
第3四半期(7~9月)からのエネルギー価格の高騰が想定以上だったことから、価格交渉は2段階交渉のようになっている。非常に厳しい交渉をしている。コスト高の状況はおおよそのお客様にはご理解はいただけていると思う。価格政策がきいてくるのは第4四半期(10~12月)からで、2023年にかけてはもう少しきいてくるはず。数量もおそらく少し戻ってくる。
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