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吉本興業の社長が今、芸人からよく言われること 岡本社長「ファンを増やす起点を大事にしたい」

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日本のエンタメ・お笑い界を牽引する吉本興業ホールディングス。2022年に創業110周年を迎え、3月には自前の放送局「BSよしもと」の開局も果たした。“よしもと”の現状、今後の展開を岡本昭彦社長に聞いた。

吉本興業ホールディングス社長の岡本昭彦氏
岡本昭彦(おかもと・あきひこ)/吉本興業ホールディングス社長。1966年生まれ。1991年天理大学外国語学部卒業、吉本興業入社。吉本新喜劇の担当やダウンタウンのマネジャーなど歴任し、2015年専務に就任。2016年副社長、2019年から現職。(撮影:今井康一)

──吉本興業は今年創業110周年となりました。

先人の社員や芸人の努力と、その時々にご支援くださった関係者、応援してくださった方々の力があって110周年を迎えられた。皆、笑いの力で世の中を明るくできると信じてやってきたと思う。そうした気持ちを受け継いで、次の世代につなげていきたい。

──コロナ禍で劇場を閉鎖したり、100億円程度のコミットメントライン(融資枠)を設定したりと業績へのダメージが気になります。

長期間劇場を閉めたのは戦時中以来で、収益へのインパクトもそうとうあった。結果的に芸人が働ける場所も失われた。

その中で始めたのが、オンライン配信。劇場の収益をリカバーするまでではないが、劇場のキャパシティー以上の人に見てもらえたため、ある程度補うことができた。

あとはYouTube。カジサック(梶原雄太)らが以前から取り組んでいたが、コロナ禍で収益が伸びた。その2つが新たなビジネスとして成り立ちつつある。

今、劇場は元どおりになってきているが、そこにライブ配信などが加わることで、コロナ前より収益が伸びる環境になっている。

融資枠は100億円まではいってはいない。融資枠をコロナ禍で多少引き上げたが、全体の融資枠の半分も借りていない。それも大半は以前から借りていたもので、少し負債が増えた程度だ。財務が大きく毀損しているわけではない。

会社の収益はテレビ局との取引が大きなウェートを占めている。たくさんの芸人が出演し、番組の制作協力もあり、今後も中心になることは間違いない。

売上高は非公開だが、非上場化前(編集部注:2010年非上場化、08年度連結売上高は488億円)よりも増えている。ライブ配信やYouTubeだけでなく、アマゾンやネットフリックスといった動画配信プラットフォームとの取り組みが貢献している。

この先も残り続ける不変のビジネスは2つ

──岡本社長は、つねに劇場・舞台の大切さを力説されています。

110年の歴史で、不変のビジネスが2つあるとよく言っている。1つは劇場の運営、もう1つは芸人のマネジメントだ。この2つはこの先も残り続けるだろう。

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