苦境のセメント「タイムリーな値上げ」阻む商習慣 太平洋セメントのサーチャージ導入は挫折

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燃料となる石炭の価格が急騰しているが、セメントの販売価格への転嫁が鈍い。なぜ、十分な値上げができないのか。

セメントを使う工事現場
鋼材などに比べ、セメントは値上げが浸透していない(写真:PIXTA)

セメント業界に、未曽有の逆風が吹いている。

セメントの製造で、燃料として大量に使用する石炭の市況が、1年強前の約4倍になっている。にもかかわらず、供給先の生コンクリートメーカーなどへの販売価格へのコスト転嫁は非常に鈍く、2022年度前半は赤字での販売を強いられている。

2022年4~6月期のセメント事業の営業損益は、業界最大手の太平洋セメントが国内は64億円の赤字、業界2位の住友大阪セメントが54億円の赤字だった。そのほかのセメントメーカーも軒並み大苦戦する。いったい、何が彼らをそこまで苦しめるのか。

「やはり、だめだったのか。予想していた通りだった」

あるセメントメーカー関係者は、競合相手でもある太平洋セメントが今夏、取り組んでいた価格改定への挑戦とその結末について、少し残念そうに話した。

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