化学大手4社、好決算の先に漂う「原価高の暗雲」 2021年度は石化製品の好市況が業績に貢献した

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2022年3月期は好業績となった総合化学大手。だが足元でも原価高が続く中、価格転嫁の課題に直面している。

ポリプロピレンを製造する住友化学の千葉工場のプラント。21年度上半期は北米寒波の「恩恵」でもうけが大きかった(写真:住友化学)

手放しでは喜べない、山あり谷ありの末の「好業績」だった。

総合化学大手4社の2022年3月期の連結業績決算が出そろった。うち、国際会計基準の3社のコア営業利益(営業利益から非経常的な損益を除いたもの)は三井化学が過去最高、住友化学が過去2番目に高い数字だった。三菱ケミカルホールディングスも数字を大きく改善させた。旭化成は営業利益で過去2番目の数字をマークした。

石化製品の市況が上昇

好業績を後押ししたのは、主要な石化製品の市況の上昇だった。2023年3月期も引き続き、ポリエチレンやポリプロピレンなど合成樹脂の市況は、上昇が見込まれている。

ただ、石化製品のもうけは一転して、大きく縮小するとみられる。その影響もあり、2023年3月期の業績には足踏み感が出そうだ。

2023年3月期の各社の業績計画では、2022年3月期比で三井化学はコア営業利益が13.5%減、住友化学が14.8%減と後退を予想する。三菱ケミカルHDはコア営業利益が1.0%増、旭化成は営業利益が3.9%増の計画だが、伸び幅に迫力はない。

石化製品の市況が引き続き上昇する中で、2022年3月期と2023年3月期で石化製品のもうけが大きく変わるのは、市況上昇の「中身」が違うからだ。

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