ホームセンターの「プロ業態」参入が相次ぐ事情 業績は好調、目指すは金物・資材の「ワークマン」
朝7時、東京都内にあるホームセンター「コーナンPRO世田谷八幡山店」は、出勤前の職人でにぎわいはじめる。
駐車場には軽トラックやワンボックスカーが並び、資材を運び込んでは現場へ向かっていく。夜になると仕事を終えた職人が店に立ち寄り、明日の仕事に必要なものを購入して去っていく。2022年8月にオープンした同店は、環八通りや環七通りに近いこともあって繁盛店となっている。土日は一般客でにぎわう。
PROが通常のホームセンターと異なるのは、品ぞろえだ。合板などの資材や間接材、消耗品、電動工具や金物など、職人が現場で必要なものを中心に取り扱う。インターホンやドア、トイレなど住設機器まで取りそろえる。大型資材などは店舗スタッフが必要な分だけカットするサービスや、車への積み込みも手伝う。開店時間は朝6時半や7時と早く、夜20時や21時まで営業時間は長い。こうした店舗は「プロショップ」と呼ばれ、店舗数が急速に増えている。
ホームセンター業界3位のコーナンは、2010年頃からPROの出店を強化してきた。2019年には住宅設備メーカー大手のリクシルからプロ業態の建デポを約240億円で買収。今やグループ売上高の約3割をプロ業態が占める。2023年2月期は新規出店40のうちプロ業態が19を占め、さらに拡大させる方針だ。
最大手カインズも参入
業界2位のDCMホールディングスも、プロ業態「ホダカ」の出店を進めている。55店舗(2022年11月末時点で)を展開するが、「全国展開で100店体制、最大200店まで増やせると考えている」(加藤久和執行役員)。ホダカでは電動工具や金物、作業衣料などを扱う。店舗面積が300坪に抑えられ、資材は置いていないため店員の作業負担も少ない。出店を進めやすいのが特徴だ。
業界4位のコメリもプロ業態「コメリPRO」を10店展開するが、大型店「コメリPOWER」の88店で資材館を展開しプロ需要に対応する。6店ではドライブスルーも導入し、車に乗ったまま荷物の積み込みから買い物までが完了できるようになっている。最大手のカインズも2020年にプロ業態の1号店を出店し、現在3店を展開する。
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