岸田首相、持続的賃上げへ労働市場改革に意欲 年功賃金から日本型の職務給への移行は急務
岸田文雄首相は23日、衆院本会議で行った施政方針演説で、持続的に賃金が上がる構造を作り上げるため、労働市場改革を進める決意を示した。足元で物価上昇を超える賃上げが必要とも語った。
働く人が学び直しをするリスキリングによる能力向上支援と合わせ、日本型の職務給の確立と成長分野への円滑な労働移動を進める改革を「働く人の立場に立って加速する」と述べた。
リスキリングでは特にグリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)、スタートアップなど成長分野に関するスキルを重点に、在職者を対象とする場合でも企業経由中心から個人への直接支援に在り方を見直す意向も示した。
従来の年功賃金から職務に応じてスキルが適正に評価され、賃上げに反映される日本型の職務給への移行は企業の成長のためにも急務だと指摘。6月までに導入方法を類型化し、モデルを示すと語った。
こども・子育て政策
新しい資本主義の取り組みを次の段階に進めたいとした上で、「こども・子育て政策」を最重要課題と位置付ける考えも表明した。4月に発足するこども家庭庁の下、必要な政策を体系的にとりまとめ、6月の経済財政運営指針「骨太方針」策定までに予算倍増に向けた大枠を提示するとした。
昨年の出生数が80万人を割ったことに触れ、「わが国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」と指摘。こどもファーストの経済社会を作り上げ、出生率を反転させなければならないとし、「従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と述べた。
他の発言
- 公的セクターや政府調達に参加する企業で働く人の賃金を引き上げ
- 中小企業の賃上げ実現へ、生産性向上や下請け取引の適正化、価格転嫁を促進
- フリーランスの取引適正化も強化
- 今後も必要な政策対応に躊躇(ちゅうちょ)なく取り組む-物価高対策
- 将来世代への責任として対応-防衛費増の財源
- 国家戦略として資産形成支援、長期的には運用収入そのものの倍増も見据える
- 2025年をめどに全都道府県で自動運転の社会実験実施目指す
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著者:萩原ゆき
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