今年の日経平均は2万8000円止まりの懸念がある 高値と安値の時期はそれぞれ何月になるのか
今年の日経平均の想定を「高値2万8000円(3月)、安値2万4000円(12月)」と広めのボックスとしたが、これが「ワイドレンジ」だ。ここからさらに「中核のゾーン」を狭く絞ると「高値2万7000円(3月)、安値2万5000円(12月)」となる。
このうち、今年のワイドレンジの下限2万4000円については「世界的なインフレ再加速」「アメリカの金融政策の引き締め継続」「米中摩擦の激化」、さらに「それ以外の想定外の危機やショックなど」が発生すれば、日経平均は、長期の予想PER(株価収益率)の下限レンジである10倍前後までバリュエーション(評価価値)の低下を余儀なくされる可能性があるからだ。
ただし、この下限レンジである2万4000円前後は、年後半のリスクを想定したもので、年前半の「可能性が高いレンジの下限」は2万5000円台と見る。インフレ鎮静化によるアメリカの金融緩和観測への期待(=高PERに代表される成長株のリバウンド期待)が残るからだ。
一方、前出のように、日銀は1月17~18日の金融政策決定会合で緩和縮小見送りを決定した。この結果、いったんは円高一服(円安反転)、株価反発(日経平均は前日比652円高の2万6791円と急騰)となった。これが今年の高値(もしくは当面の高値)となる可能性もあるが、2~3月まで円安株高のリバウンド相場に移行する可能性もある。足元の2万6000円台半ば(できれば2万5000円台)の水準では、丁寧に押し目買いで対応したいところだ。
日銀の後任人事や日米の金融政策決定会合などに注目
現在、マーケットは黒田東彦日銀総裁(4月8日任期満了)や、その前に任期が終了する雨宮正佳、若田部昌澄副総裁(3月19日任期満了)も含めて、後任に関連する人事に注目している。
なぜなら、この一連の人事により、今後の日銀金融政策決定会合での緩和縮小のスタンス(どの程度・どのタイミングでタカ派になっていくのか)について、物色対象が定まる可能性があるため、マーケット参加者はヒントとして知りたがっているからだ。
岸田文首相は、直近のテレビ番組で「4月時点の経済状況を考えたうえでどなたがふさわしいか、これから判断しなければならない」などと発言したようだ。
いずれにしても、2月10日には、衆参両議院の議運理事会に正副総裁の人事案を提出する流れだ。この後、1月末(遅くとも2月10日まで)にはすぐに次期総裁の人事がヤマ場を迎えるかもしれない。日本株に大きな影響をもたらす海外投資家も注目しており、国内では今年最大の注目イベントになるだろう。
もちろん、引き続き、日米の中央銀行の金融決定会合やマクロの重要指標の公表日には注目したい。主なイベントは、時系列順では以下のとおりだ。
まず1~2月は、1月31日・2月1日のFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)、2月3日のアメリカ雇用統計、2月14日のアメリカCPI(消費者物価指数)がある。
3月は9~10日に日銀政策決定会合がある。黒田総裁の最後の金融決定会合で、何らかの金融政策の変更があるのかどうか。また、10日にはアメリカ雇用統計、14日にアメリカCPI発表、21~22日にFOMCがある。ここでアメリカの利上げ打ち止め期待が一段と高まるかどうかに注目だ。
4月には7日のアメリカ雇用統計のあと、8日には黒田日銀総裁が任期満了を迎える。その後は12日のアメリカCPI発表、27~28日に行われる新体制下での日銀政策決定会合に注目だ。
割安だが世界の景気敏感株である日本株は、結局アメリカ株や中国株の影響を受けやすい。そのため、とくにアメリカ株の堅調な推移や円安転換が前提だが、2~3月をメドに2万7000円~2万8000円前後への株価の戻りに期待したい。
(本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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