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統一教会の事件で宗教を蔑視してはならない 哲学者・柄谷行人氏の思考がたどり着いた先

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政府は2022年12月13日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けて臨時国会で同10日に成立した「被害者救済新法」を同16日に公布することを閣議決定した。一部の規定を除き、23年1月5日に施行される。

新法では、「霊感」を用いて相手の不安をあおって困惑させるなどの寄付勧誘行為を禁止し、こうした勧誘行為に基づいて行われた寄付は取り消しが可能になる。取り消しの対象となる六つの禁止行為のうち二つは、今(22)年5月の消費者契約法の改正で盛り込まれた内容を援用しており、施行は来(23)年6月1日となる。

(中略)臨時国会では、壺(つぼ)や印鑑などを法外な値段で売りつける「霊感商法」への対策を強化した改正消費者契約法も成立した。来年1月5日に施行される。(12月14日、朝日新聞朝刊)

旧統一教会に限らず、宗教団体、企業、労働組合、学校、NPO(民間の非営利組織)などの法人や団体が違法行為を行えば処罰され、違法行為でなくとも社会通念から著しく逸脱する行動を行えば、社会的責任を取るのは当然のことだ。

筆者は「被害者救済新法」が性急に採択される過程で日本人の宗教観が変容しつつあることに不安を覚えている。日本は宗教に対して寛容な国とみられていた。神道、仏教、キリスト教や新宗教の教団がたくさんあり並存している。また、宗教を信じていない、無神論者であると主張する人が社会的に排除されることもない。

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