JPX、首脳人事で「2人のプロパー社長」誕生の思惑 野村、大和出身のCEOはこれで最後になるか
野村ホールディングス出身者が新CEOに就任する人事を発表した日本取引所グループ。しかし注目は、傘下の東証と大阪取引所の次期社長人事だ。
「いつまでも昔の東証時代のように役所から天下りが来て、トップに座るという時代ではない」――。日本取引所グループ(JPX)の清田瞭CEO(77)はそう述べ、社内の人材から首脳陣を選ぶことの意義を強調した。
12月16日、東京証券取引所などを傘下に抱えるJPXは、2023年4月1日付の首脳人事を発表した。清田CEOは退任し、野村ホールディングス出身で現・東証社長の山道裕己氏(67)が次期CEOに昇格する。東証社長にはJPX取締役で現・大阪取引所社長の岩永守幸氏(61)が、大取社長にはJPX専務執行役の横山隆介氏(59)がそれぞれ就く。
就任8年目を迎えた清田氏については、すでに2021年末から「交代が近い」と金融関係者の間で噂されてきた。2022年2月に清田氏が自らの続投を表明したことこそ意外視されたが、かねて次期CEOの“大本命”は山道氏と見られていた。
というのも、東証社長は清田氏もグループCEO就任前まで務めた出世ポストの代表格。山道氏は野村からJPXに移って2023年6月で10年となり、社歴の面でも申し分ない。
証券三団体トップが野村出身の意味
大和証券グループ出身の清田CEOの事実上の前任は、野村出身の斉藤惇氏だ。山道氏がCEOに就任することで、野村、大和、野村のたすき掛け人事が成立する。また、取引所や証券会社などが加盟する日本証券業協会のトップは野村と大和の代表経験者が交代で務めており、そうした業界の慣習とも平仄が合う。
一方で山道氏が就任することで、証券三団体(全国証券取引所協議会、日本証券業協会、投資信託協会)の代表者がいずれも野村出身者となる。これについて業界では、さまざまな臆測を読んでいる。
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