Twitter教員アカ座談会、「長時間働くのがよい先生」解けない呪縛に危機感 「学校現場のリアル」ブラックな実態が明らかに

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合法先生 しんどさを感じながら部活動の顧問をしていましたが、やはりおかしいと思い、管理職と交渉して、ここ数年は部活動の顧問をしていません。私ぐらいの年齢で「顧問をやりたくない」と言えば、校長も対応せざるをえませんが、若い人が言ったら「やる気はあるのか?」となりますよね。国も部活動を「必ずしも教師が担う必要のない業務」に位置づけていて、拒否する権利があるはずですが、同僚からはよくは思われていないと思います。部活動を教員の仕事に含めるなら無償ボランティアではなく、相応の対価を支払うべきです。

真由子 私もこの数年、部活動の顧問をしていません。4月の顧問決めの際、校長は全員の名前を入れたがりますが、今は第2顧問も第3顧問にもいっさい名前を入れないでほしいと言っています。部活動の顧問は「教員の仕事のうちなので、やって当たり前」という空気の中での拒否は心理的負担も大きく、拒否する教員は希有な存在です。SNSのフォロワーはいても、リアルの学校で私に共感してくれる教員が周囲にいないのもつらいところです。

のぶ 最近では、文科省のガイドラインで部活動を平日2時間、休日3時間に制限しています。ところが、一部には意図的に制限を超えて練習時間を延ばす教員がいて……。こうした教員の好き勝手を許すと、保護者から「あの先生はやってくれるのに」という声が出て、逆にほかの教員がつらい立場に置かれ、負担軽減が進みません。

合法先生 実際、部活動指導が好きな教員はいますよね。部活動は希望した生徒だけが集まるので指導がしやすく、教師は有能感を持てるため、ある種の中毒性があると思います。生徒指導が難しい子も部活動なら指導しやすいという考えもありますが、本来は普段の授業などを通してすべきことです。

のぶ 現在、学校の部活動を地域に移行していこうという動きがありますが地域移行、外部委託は順調に進んでいますか。

真由子 外部委託には、生徒の引率も含めすべて任せるレベルと、引率する教員が必要でコーチは一緒に指導するだけというレベルがあります。大半は、教員が関わらなければならない後者のレベルです。顧問教員がいないときに生徒間のトラブルが発生して、結局校長が教員につねに一緒にいるように指示するといったケースもあります。

合法先生 外部コーチはスポーツの技術を教えることはできても、生徒間トラブルに対処できません。練習量を増やしたいコーチと意見が合わず、逆に教員の負担が増えたり、学校のことをあまり知らないコーチが禁止事項に触れてしまうこともあります。研修が必要だと思いますが、今は来てくれるだけでありがたいという状況なので強く言えません。私の周囲では、外部委託は無理だろうという声が多いですね。

「長時間働くのがよい先生」という文化が働き方改革を妨げる

――なぜ教員の長時間労働は改善されないのでしょうか。

合法先生 学校は世の中の動きに関心がありません。隣の学校がどうしているか、ということのほうを気にするムラ社会です。私は効率的に働いて定時に帰れるようにすべきという考えですが、学校では民間企業のように効率的に仕事をして早く帰ることは評価されません。

のぶ 管理職側が仕事を減らそうとしなければ、学校は変わりません。部活動の練習時間の件では、制限を守らない教員を止めない管理職にも問題があります。

合法先生 長時間働くのがよい教師という古い価値観の管理職世代は、労務管理をする気がありません。そのうえ、教員の間にも早く帰るとほかの先生に申し訳ないという雰囲気があります。それで学校に遅くまで残るための不要不急の仕事をつくり出し、仕事がどんどん増えてしまうのです。

真由子 教員間の同調圧力は確かに高くて、おかしいと思ってもやめられないし、効率よく働こうという感覚もありません。一方、管理職も長時間労働に対する感覚がマヒしていて、「文句を言わないから大丈夫」と仕事を増やします。「定時退校日」がありますが、まさに残業を前提としていることの表れですよね。

のぶ 現場を離れて思うのは、学校の変化が遅いのは仕組みに問題があるのではないかと。制度を整える側にある教育委員会が、現場を知らなさすぎて、学校との間に大きな考え方の違いがあると感じます。そのため、教育委員会の効率化の施策が、学校でスムーズに実行されないのだと思います。

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