先ほど発表のあったノーベル経済学賞。東京都立大学の松岡多利思・准教授は事前にバーナンキ氏ら3人の受賞を予想し、見事的中させた。なぜ事前に予想できたのか。今回の受賞の意味合いを含め話を聞いた。
研究の基礎を作った研究者
──3人の受賞を事前に予想できたのはなぜですか?
ここ数年の授賞傾向から、そろそろ金融かマクロ分野が受賞するのではないかと思っていました。経済学には多くの研究分野が存在しますが、ノーベル経済学賞ではこれまで数年に1回のペースでマクロ経済分野が受賞しており、金融分野の授賞は近年遠ざかっていた。
そのため金融研究、とくに銀行関連の研究に注目しました。私自身この分野が専門なので身内びいきもありますが、現実の社会・経済に現在進行形で大きな影響を及ぼしている重要な分野です。
この分野が受賞するとしたら、まずは研究の基礎を作った研究者、以降にそれを発展させた研究者への授賞という流れになるのが自然ではないか、と予想しました。
──今回の受賞者は「研究の基礎を作った研究者」ということですね。
ええ、受賞者3人の研究は、経済学における金融・銀行研究の前提を変えるほどインパクトのあるものでした。さらに現実社会にも大きな影響を与えています。ごく簡単に説明するなら、「不況時に『銀行を潰さないこと』の重要性を明らかにし、銀行の役割や規制のあり方を考える理論的枠組みを示した」というところです。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら