東大生が高校生指導「行きたい大学」の合格勝ち取るリアル「ドラゴン桜」の中身 栃木・宇都宮短大附属高校の生徒に起きた変化

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
志望校の過去問などを自分で調べ、分析する

宇都宮短大附属が「リアルドラゴン桜」を導入した理由

このシーンだけを切り取ると「リアルドラゴン桜プロジェクト」の授業は、受験に合格するためのテクニックを教えているかのような印象を抱くかもしれない。けれども宇都宮短大附属の教頭・萩原俊和氏に「リアルドラゴン桜プロジェクト」を導入した目的を問うと、予想に反した答えが返ってきた。

「生徒にもっと素直になってほしいからです。本校には優秀な生徒がたくさんいますが、もう少し素直になったらもっと伸びると思われる生徒も多い。自分の力だけで問題を解こうとするのもいいことですが、ちょっと誰かに教わってヒントをもらえばすぐ解けるのにそれをしない。素直になって人に聞いたほうがいいときもある。西岡さんにお会いしたとき、その素直さに感じ入り、この人の言うことなら生徒にも必ず伝わると思いました」

萩原俊和(はぎわら・としかず)
宇都宮短期大学附属高等学校 教頭

西岡さんは、高校3年生のときは偏差値35だったが、浪人中に「ゲーム式暗記術」や「思考法」など自分なりの学習法を編み出し、3回目の受験で東大に合格した。

こうした「東大に入るのが当たり前でなかった東大生」――偏差値がそこまで高くなかったところから逆転合格をつかんだ、東大の合格実績がない学校や地域から努力して合格した東大生が中心となって運営しているのが「リアルドラゴン桜プロジェクト」だ。そんな経験を生かしながら、もっと自分の可能性を信じてチャレンジしてほしいという思いが込められたプロジェクトでもある。

自分が「行きたい」大学に行くことが大事

宇都宮短大附属には普通科のほかに生活教養科、情報商業科、調理科、音楽科の全5科がある。生徒数は約2500人。受験者数は毎年5000人を超えるという。

「本校は、進学校を目指すというよりは、多様性を大事にし、各科がそれぞれオンリーワンを目指しています。普通科で東京大学を目指す生徒もいれば、調理科で学んで将来は国際的なシェフになりたいという生徒もいます。多様な学科の生徒が同じキャンパスで学び、部活動も一緒で切磋琢磨しています」

その中で「リアルドラゴン桜プロジェクト」の授業を受けることができるのは、普通科の生徒に限られている。それも入試のときに高得点を取って特待生として入学することが認められた生徒と、希望者だけだ。特待生は各学年に30~40人いるという。

参加が認められた生徒は、1年生で8回、2年生で4回(いずれも短期講座を除く)、3年生で2回の授業を無料で受けることができる。もちろん学校側は「リアルドラゴン桜プロジェクト」に所定の料金を支払っている。

「本校は教職員が一人ひとりの生徒に寄り添うことを基本にしています。『リアルドラゴン桜』の授業は、できれば全生徒が受けられるようにすればいいのでしょうが、それでは生徒が多くなりすぎて講師の熱意が伝わりにくくなります。本校には若手教員もいますが、『リアルドラゴン桜プロジェクト』の講師は現役の東大生で、生徒との年齢差はせいぜい3~5歳くらいです。自分たちにとって兄や姉のような人が自分たちの失敗談も語り、努力して乗り越えて東大合格という成功を収めたことを直で語りかける。それこそがリアルであり、だから生徒たちの心にも響くのでしょう」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事