彼ら彼女らは、行ける大学を目指して東大に来たわけではありません。合理的な選択を考えれば、全然違う大学を志望していたことでしょう。しかし、その中でも自分の可能性を信じて、挑戦できたからこそ、東大に合格しているわけです。

現役東大生。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指し、オリジナルの勉強法を開発。崖っぷちの状況で開発した「思考法」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、2浪の末、東大合格を果たす。そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社「カルペ・ディエム」を設立。全国5つの高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計38万部のベストセラーとなっている
(撮影:尾形文繁)
高校生たちに「自分の行きたい大学」を考えてもらえるサポートを
そんな彼ら彼女らの話を聞くと、「自分も一歩、前に進んでみようかな」「こんなことができたらうれしいかも!」と、どんどん「行きたい大学」を目指すようになっていくわけです。
「リアルドラゴン桜」と名前に付いているので誤解されやすいのですが、別に「東大を目指して勉強しよう!」というプロジェクトではありません。
僕らにとって、東大は「行きたい大学」だったから東大を目指しました。だから、それと同じように高校生たちにも「自分の行きたい大学」を考えてもらって、それぞれの志望校を目指してもらうサポートができればと考えています。
具体的な中身としては、何か英語の問題演習をしたり数学の問題解説をしたりするわけではなく、「自分たちはこうやったら成績が上がったよ!」ということをシェアしています。元からできたわけではない彼ら彼女らの話だからこそ、その勉強法やプロセスは荒唐無稽な話でも、雲の上の人のやっているやり方でもなく、「ちょっとこれ、やってみてもいいかも!」と思ってもらえるようなものになっていて、ちょっと上を目指して頑張る気になってくれるというわけです。
そしてその勉強法を紹介する時には、漫画『ドラゴン桜』のコマを引用したりして説明します。僕も『ドラゴン桜2』の編集をしていた人間なわけですが、ドラゴン桜は東大生たちの勉強法を取材して、その結果として見えてきた勉強法を載せている漫画です。なので、この漫画の勉強法は東大生たちのやり方とリンクしているわけです。それを利用して、漫画というとっつきやすい教材を使いながら、東大生たちとそこに描かれている勉強法を試しています。