体育や部活どう変わる?「AIを活用したトレーニングアプリ」の教育効果 自分の動きを「客観視」、自然と「学び合い」も

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AIスマートコーチの実証実験は、授業だけでなく中学校のバスケットボール部や地域のフットボールクラブなどでも行ったが、いずれも手応えを感じているという。

「子どもたちは簡単な説明だけで自主的に使いこなしていて、子ども同士で学習し合う環境が発生していました。指導担当の方からも『指導者が付きっきりにならずに済む』などの感想をいただきましたが、端末1つで、未経験でも先生がいなくても、自分である程度技術を学べるツールになっていると思います」(星川氏)

現在、AIスマートコーチでは、野球、サッカー、バスケットボール、ダンスの4種目のお手本動画と練習メニュー動画、フィジカルトレーニング動画などが公開されている。今後は卓球や水泳、テニス、陸上、バレーボール、バドミントン、ハンドボール、ラグビー、剣道、弓道、ゴルフも加え、計15種目まで増やす予定だ。

「指導者を確保しづらい競技人口の少ないスポーツの支援ニーズもあり、スポーツの特性とアプリとの相性を意識しながら、種目やお手本動画の追加を進めたい」と、星川氏は語る。

また、ソフトバンクは2015年から、オンラインで専門コーチの指導が受けられる有料サービス「スマートコーチ」も提供しているが、いずれはこのサービスも統合し、スマホやタブレット端末が1つあれば完結できるスポーツ支援プラットフォームを目指す。

AIスマートコーチに関しては、「骨格解析がうまく反応しない場面があった」(熊谷氏)など、操作性の課題を改善するほか、AIによる指導機能も追加する予定だ。記録の利便性を図るため、撮影した動画をクラウド保存できる有料サービスも検討している。

「現在、体育での活用のほか、部活動の地域移行に関連してのご相談も増えています。23年度には、どんなOSにも対応するようウェブで利用できる形にし、学校向けのサービスを拡張して提供したい」と星川氏は語る。

学校スポーツの領域は、子どもの体力低下や部活動問題など多くの課題が山積しているが、解決に向けて共通して重視されているのが生涯スポーツという観点だ。生涯にわたり豊かなスポーツライフを実現するには、基本的な技能習得だけでなく、自身の健康や運動の課題を見つけて解決を目指すことも大切になる。

そのように自身を客観視するうえで、AIスマートコーチのようなICTを活用した科学的アプローチは有効だろう。運動に対する意識やスキルの違いを踏まえ、いかにICTを活用して子どもたちをサポートするか、指導のあり方も今後大きく変わっていきそうだ。

(文:佐藤ちひろ、写真:ソフトバンク提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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