体育や部活どう変わる?「AIを活用したトレーニングアプリ」の教育効果 自分の動きを「客観視」、自然と「学び合い」も

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「今回は実証実験ということもあって中学校の『現代的なリズムのダンス』に近い内容でしたが、小学校のリズムダンスや体つくり運動のストレッチ、ボールを使った運動、水泳など、学習指導要領に沿ったお手本のバリエーションがそろっていると、より使いやすいのではないでしょうか」

「声かけ」もポイント?意欲的な活用には課題も

7月から始まった長野県飯田市立緑ヶ丘中学校(以下、緑ヶ丘中)での実証実験では、中学3年生の器械運動の授業でAIスマートコーチが活用された。4~5人のグループに分かれ、グループで1台のiPad miniを使って実技を進めた。

中学3年生の器械運動の授業で実証実験

「1つの端末の中で、お手本と自分の動きを同時再生したり重ねたりして確認できる点がいいなと思います。実証実験の初日はみんな楽しそうにお手本と比較しながら取り組んでいました」と、緑ヶ丘中保健体育科教諭の熊谷日明氏は話す。

生徒たちからも、「マット運動は得意ではなかったけど、アプリをみんなと一緒に使ってみて客観的に自分の動きを見ることができ、少し上達したかなと感じました」「スロー再生や反転などもできてわかりやすかったです」といった声が聞かれた。

一方、課題も見えてきた。その後、自分の動きを確認する手段の1つとしてAIスマートコーチの利用を促し続けたが、初日のように全員が積極的に活用することはなかったという。

「器械運動は選択授業なので、もう1つの選択肢である水泳が苦手だからという理由で選んだ子もいるでしょうし、意欲のばらつきを考慮した声かけになっていなかったのかもしれません。『技の出来栄えを高めるために、動画で撮ってみよう』など、他学年の器械運動の授業では投げかけ方を変えてみようと思います」(熊谷氏)

熊谷氏は今後、自分が顧問を務める陸上部でもAIスマートコーチを使ってみたいと話す。

「自分がスキルを高めたい競技だと、より意欲的に使うのではないかと思います。とくに陸上は、走り幅跳びやハードルなどにおける空間動作の比較などに役立ちそうです。女子テニス部の顧問の先生も、使ってみたいと話しています」

「体育の授業」や「部活動問題」の領域にニーズ

AIスマートコーチは、今年3月末にソフトバンクと筑波大学が「日本の学校スポーツ改革」に関する連携協定を締結した一環で無料提供を始めたiOS(iPhone、iPad)向けのアプリだ。専門的な指導に不安のある部活動や体育の授業を担当する教員、アマチュアアスリートに向けて開発された。ソフトバンク サービス企画本部 コンテンツ推進統括部 企画管理部部長の星川智哉氏は、次のように説明する。

「弊社は以前から技術力を生かしてプロスポーツのDX化などの支援に取り組んできました。その中で、少子化で子どもたちのスポーツ活動が難しくなっていることや、競技経験のない教員が部活動の顧問を引き受けている現状などを知り、スポーツ教育の支援も始めたというわけです」

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