連載17年目「キングダム」は何を描き続けてきたか 原泰久氏「この連載を終えるまでアナログを貫く」

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原画展向けの絵と作者の原泰久氏(撮影:尾形文繁)
『キングダム』が、ますます勢いに乗っている。連載が始まった当初は人気獲得に苦戦したというが、今やコミックス累計発行部数9200万部超(最新66巻)、1億部目前のメガヒット作品だ。メディアミックスも盛んで、テレビアニメは第5シリーズの放送が決定、実写映画は第3弾の公開が来年予定されている。
舞台は春秋戦国時代の中国。下僕出身の少年、信(李信)は、中華統一を目指す若き日の始皇帝・嬴政(えいせい)と心を通わせ、理想を胸に「天下の大将軍」への道を駆け上がっていく。熱い物語が読者を魅了し続け、『週刊ヤングジャンプ』での連載は17年目に入った。
原泰久氏が『キングダム』を描き続ける原動力はどこにあるのか。

──なぜ古代中国を題材に?

もともと歴史が好きなんです。まず歴史を描くと決め、作品のエンターテインメント性を突き詰めることができる題材として春秋戦国時代の中国を選んだ。

ほかに、例えば幕末や戦時中の日本にひかれる気持ちもあったけど、そちらは僕が目指す漫画との相性が悪かった。探していたのは、エンタメ分野であまり注目されてこなかった、ドラマをつくるための隙間が多い、それでいてマニアックすぎない題材。その点、歴史の授業で習うものの史料が少なく詳細が知られていない「始皇帝の中華統一」は魅力的でした。

今まで描かれていないのはニーズがないからで、描いたところで誰も興味を持たないハズレの題材なんじゃないか、という懸念は当然あった。でも、仮にそうだとしても、僕がこの題材を面白く描き、その漫画が読者の感性にうまくはまれば、独り勝ちできる。そんな野心もありました。

忠実、誠実、そして大胆に

──作中では人間的魅力あふれる名君として描かれる秦の始皇帝(嬴政)ですが、従来は独裁者、暴君、侵略者といったイメージも。

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