──なぜ古代中国を題材に?
もともと歴史が好きなんです。まず歴史を描くと決め、作品のエンターテインメント性を突き詰めることができる題材として春秋戦国時代の中国を選んだ。
ほかに、例えば幕末や戦時中の日本にひかれる気持ちもあったけど、そちらは僕が目指す漫画との相性が悪かった。探していたのは、エンタメ分野であまり注目されてこなかった、ドラマをつくるための隙間が多い、それでいてマニアックすぎない題材。その点、歴史の授業で習うものの史料が少なく詳細が知られていない「始皇帝の中華統一」は魅力的でした。
今まで描かれていないのはニーズがないからで、描いたところで誰も興味を持たないハズレの題材なんじゃないか、という懸念は当然あった。でも、仮にそうだとしても、僕がこの題材を面白く描き、その漫画が読者の感性にうまくはまれば、独り勝ちできる。そんな野心もありました。
忠実、誠実、そして大胆に
──作中では人間的魅力あふれる名君として描かれる秦の始皇帝(嬴政)ですが、従来は独裁者、暴君、侵略者といったイメージも。
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