「キングダム」が読者を増やすために徹底すること 原泰久氏「一手間かけ続けることを繰り返す」

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『キングダム』作者の原泰久氏。後ろにあるのは「キングダム展」に向けて制作した巨大な墨絵(撮影:尾形文繁)
1億部目前のメガヒット作品『キングダム』。舞台は春秋戦国時代の中国。下僕出身の少年、信(李信)は、中華統一を目指す若き日の始皇帝・嬴政(えいせい)と心を通わせ、理想を胸に「天下の大将軍」への道を駆け上がっていく。熱い物語が読者を魅了し続け、『週刊ヤングジャンプ』での連載は17年目に入った。
週刊連載と同時に実写映画や大規模な原画展など幅広い仕事に取り組む原泰久氏が、作品の裏話から漫画文化を取り巻く現状まで、縦横無尽に語る。(本編は上編、中編、下編の中編です)。

 

──前回は、キャラクター配置についての話がありました。描いていて楽しい、あるいは描きづらい登場人物はいますか。

61巻より。媧燐とバミュウのコミカルなやりとり(©原泰久/集英社)

最近は、羌礼(きょうれい)を描くのが楽しい。少し前は楚の女将軍、媧燐(かりん)とその側近のバミュウの組み合わせも楽しんで描いていました。3人とも、ストーリーの緊張を和らげるキャラクターたちです。

逆に今、描きにくさを感じているのは、野盗の首領から将軍になった桓騎(かんき)と、彼の軍に属するキャラクターたちですね。

主人公の信との距離が遠かった時期、例えば桓騎軍の残虐行為に信が激しく反発した黒羊丘の戦いの頃は「悪いけれど強い将軍」として、ある意味、描きやすかった。

63巻より。辛い過去を持つ羌礼だが、飛信隊のムードメーカー的な存在となる(©原泰久/集英社)

描き進める中で「予想外」のことが起きる

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