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「子どもたちのために」が主体性を伸ばす機会を奪う、親切すぎる教師の罪 「不親切教師」が子どもを伸ばし残業も減らす訳

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こうした「不親切」な指導を行ううえで大切なのは、保護者の理解を得ることだという。

「最初の懇談会で、『宿題で学力がつくわけではないし、大人の自己満足なので宿題は出しません』『先回りしてダメとは言えないので小さなケガもさせます』『必ず子どもの力をつけますから、見守ってください』と伝えて理解してもらい、見守ってもらいます。自分には信念があると伝えるのはとても大事なことだと思います」

不親切指導は単なる手抜きではない。「こうすれば成功する」というマニュアルは存在せず、そのクラスの児童生徒一人ひとりを見つめなければ、その子の力を引き出すことはできないからだ。

「A校で通用したものがB校で通用するとは限りませんし、同じ学校でもそれは同じ。クラスが変われば児童も変わりますし、一人ひとりの持つ種も異なります。『去年はこのやり方でうまくいったから』と同じことをするのはダメですね。大事なのは規則ではなく基準。自治を中心に危険なことは教えつつ、子どもとやり取りしながら任せていくことをスタンダードとしています」

運動能力の向上を目的に体育の授業で登り綱をする際は、下にマットを敷いて「落ちたら危ない」「ケガをするのは登る時ではなく降りる時(摩擦によるやけどが多いため)」と伝えておく。子どもたちは自身で高さに慣れるとともに自分の腕力ならどのくらい登れるか、どこで引き返すべきか考えるようになり、結果的に安全に登れるようになるという
(写真:松尾氏提供)

書籍やメールマガジンを通して、「不親切指導」を世の中に投げかける松尾氏。その背景にあるのは、教員が置かれた状況の厳しさと、それを改善したいという思いだ。

「教員はまじめな人が多く、ある意味我慢強すぎるのです。頑張れば頑張るほど、それがスタンダードになってしまい、周りの人を苦しめてしまう。現場は通常の業務に加えてICT導入とコロナ対応ですでに過積載状態。社会に対し、『無理なことは無理だと言おう』『子どもの力を引き出すほうにシフトしよう』と訴えかけたいんです。同じようなことを考えている人はきっと周りにいるはず。まずは同じ学校の中で仲間を探してほしいですね」

不親切という強い言葉に込められた思い。それは、子どもの力を伸ばし、教員の負担を軽くしようというもの。それこそが、長い目で見れば、本当の意味での「親切」になるはずだ。

(文:吉田渓、注記のない写真:ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集チーム部

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