日本が学ぶべき「イギリス発」マーケットの大混乱 追い込まれ型の緩和策放棄なら国債売り加速も

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9月下旬、イギリスの株、債券、為替がそろって安値をつける「トリプル安」に陥った。原因はトラス政権によるちぐはぐな経済政策にある。

イギリスの保守党大会に出席したトラス首相ら
イギリスの保守党大会に出席したトラス首相(右)とクワーテング財務相(中央)(写真:Hollie Adams/Bloomberg)

イギリスの経済政策が深刻な矛盾に陥り、金融市場が大混乱に陥っている。

エリザベス女王の国葬を終え、本格始動したトラス新政権。9月下旬に公表した大規模な財政出動策によって国債価格が急落した。それに慌てたイングランド銀行(イギリスの中央銀行)は緊急の買い支えを余儀なくされた。

金融政策で利上げを進める一方、財政を出動させるという支離滅裂な政策が打ち出された後、イングランド銀行は緩和的な措置となる国債購入に踏み切らざるを得なかった。

日本はイギリスを「反面教師」に

ただ、このイギリスの混乱を日本は笑ってはいられない。日本の通貨政策も矛盾が生じ、波乱含みのためだ。イギリスを反面教師にして政策の矛盾を正す必要があるだろう。

イギリスの与党である保守党の党首選を勝ち抜いたトラス首相は、疲弊したイギリスを復活させたサッチャー氏に擬せられる。党首選では減税を公約に掲げる程度で、経済政策の具体的な内容は不明だった。

事前に予想された内容は「減税とは言っても、高騰する光熱費などで疲弊する困窮家庭に限り、財政出動の規模は控えめになるだろう」(大手邦銀)というものだった。なぜなら、イギリスではインフレが進行し、イングランド銀行が積極的な利上げを進めていたからだ。

イギリスで起きているインフレは、主要国と同様に原油高によるコストプッシュインフレの側面が強いが、国内要因としては、労働力不足が挙げられる。脱コロナに伴って経済は回復したものの、コロナ禍で早期退職した高齢者層が労働市場になかなか復帰していないとされている。

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