「親子でマレーシアに教育移住」して見えた、日本の課題と求められる力とは? 日本の子どもが「自ら教育を選ぶ日」は来るのか
今の日本の状況は、ちょうど10年前のマレーシアに似ていると感じます。そう考えると、おそらく日本でも早晩、今のマレーシアと同じような状況になるのではないでしょうか。
かねて日本の教育は1種類で、文科省が決めた「一条校」以外は、正規の教育として認めない時代が長く続きました。今もインターナショナルスクールに通うと、自治体から「義務教育違反」とおとがめがくることもあるといいます。
しかし、実際には少しずつ門戸が開いているのです。インターナショナルスクールが多くつくられ、インターナショナルスクールに通う日本人は激増しました。文科省も「考える人」をつくることを目標に、「インターナショナルバカロレア」を推進、導入し始めています。以下は文科省の資料です。
教育課程の編成に関する基礎的研究(国立教育政策研究所発表資料)より引用
これも4Cの能力と近いと感じます。
今後は、教育の種類が増えると同時に、親たちからの反発も増えて、教育がさらに「分断」されていくでしょう。親が自分自身のバイアスから抜け出すことは容易ではないため、「子どもが自ら教育を選ぶ」ことが、重要になっていくだろうと思います。
サルマン・カーンは「教育を自分で選んで初めて真の教育となる」と言っています。
複数の選択肢から、子どもが自分自身で教育を選ぶ。それこそが、21世紀において最も現実的なのだろうと思います。
東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリーの編集者、文筆家。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、マレーシアに教育移住。東南アジア発の生き方・教育・ビジネス情報を発信中。著書に『子どもが教育を選ぶ時代へ』『日本人は「やめる練習」がたりてない』(ともに集英社)『マレーシアにきて8年で子どもはどう変わったか』 (サウスイーストプレス)『いいね! フェイスブック』(朝日新聞出版)ほか
(写真:photoman / PIXTA)
執筆:野本響子
東洋経済education × ICT編集部
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