「親子でマレーシアに教育移住」して見えた、日本の課題と求められる力とは? 日本の子どもが「自ら教育を選ぶ日」は来るのか

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新たに必要とされる能力「4C」とは?

では、今の時代に教育では何が必要とされているのか。

教育はかつての「3R、つまり読み書き――Reading(読み)、Writing、(書き)、Arithmetic(そろばん)」の能力を求める時代から「4C」の能力を求める時代になったといわれます。

4Cとは、Communication(コミュニケーション)、Critical thinking(クリティカルシンキング)、Collaboration(コラボレーション)、Creativity(創造性)です。

3R
Reading(読み)、Writing、(書き)Arithmetic(そろばん)
4C
Communication(コミュニケーション)、Critical thinking(クリティカルシンキング)、Collaboration(コラボレーション)、Creativity(創造性)

誰でも情報にアクセスできるインターネットの時代は、情報を知っているだけでは役に立ちません。むしろ、あふれる情報を吟味し、組み合わせ、「これは本当かな?」と考える力や、背景が異なった他人と協力する力、創造力などが必要です。

全米教育協会が発行する米国の公立学校向けガイド「An Educator’s Guide to the  “Four Cs”」(教育者向けの4Cガイド)には、「3R(読み・書き・そろばん)だけではもう足りない」とあります。

米国の教育システムは、「もはや存在しない経済と社会」のために構築されました。 50年前の製造業と農業では、3つのR(読み・書き・そろばん)の習得で十分でした。

現代のフラットな世界では、3Rだけでは十分ではありません。生徒がグローバル社会で活躍したいのであれば、彼らはまた、「批判的思考者、熟練したコミュニケーター、クリエーター、そして協働できる人」(編集注・つまり4C)でなければなりません。
「An Educator’s Guide to the  “Four Cs”」(教育者向けの4Cガイド)より引用。筆者抄訳

この4Cが、「21世紀型教育」と呼ばれ、世界中で広がっています。興味深いのはPISA(国際学習到達度調査)ランキングの上位国だったシンガポールや中国が、教育改革をしようとしていることです。例えば、詰め込み教育の権化のようだったシンガポールは1997年に「考える学校、学ぶ国民」政策として、革新力や創造力を重視する方向に舵を切っています。PISAランキングの上位であることが、社会にとってよい人材をつくることとうまく結び付いていないのでしょう。

では、今の世界で「4C」がないとどうなるのでしょう。それはPISAランキングの数値にも表れています。文部科学省のリポートによれば、2018年のPISAランキングでは日本の子どもの「読解力」が落ちているという結果が出ています。前回15年の調査時に8位だったものが、18年調査では15位になっているのです。その原因として、日本の生徒は、記載内容を理解する力は高い一方で、必要な情報が、どのWebサイトに書かれているかを探し出す力や、情報の質や信憑性を根拠を示しながら評価し、熟考する能力が足りないという結果が出ています。

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