英トラス新首相、新「鉄の女」が直面する3つの難題 高インフレ、ポンド安、ブレグジットで苦境に
9月6日、英国の新首相にトラス氏が就任する。今の英国は3つの難局に直面しており、船出は厳しいものとなる。
英国では9月5日、相次ぐスキャンダルで7月に辞意を表明したボリス・ジョンソン首相の後任を選ぶ与党・保守党の党首選の結果が発表され、リズ(エリザベスの略称)・トラス外相が新党首に選出された。エリザベス女王の任命を受け、6日に後継首相に正式に就任する。
1979~1990年に強い英国の復活を果たしたマーガレット・サッチャー首相、2016年の国民投票後の英国を率いたテリーザ・メイ首相に次ぐ、英国史上3人目の女性首相となる。
トラス氏は民間企業で会計士として働いた後、2010年に下院議員に初当選し、キャメロン、メイ、ジョンソン首相が率いる保守党政権下で環境相、司法相、国際貿易相、女性・平等相、外相、欧州連合(EU)離脱担当相などを歴任してきた。
ジョンソン政権では当初、国際貿易相を務め、EU離脱後の移行期間中に各国と次々と自由貿易協定(FTA)を締結し、一躍次期首相候補に躍り出た。だが、その大半は英国がEUの一員として結んでいたFTAの焼き直しにすぎないとの声も聞かれる。
サッチャリズム再来を唱えるが、主義主張は変遷
8人が立候補した今回の党首選でトラス氏は、大型減税や経済活性化を通じた「サッチャリズム」の再来を唱えてきた。議員投票ではスナク前財務相に終始リードを許したが、一般党員による決選投票を57%(81326票)対43%(60399票)で制し、首相の座を手にした。
事前の世論調査やブックメーカーの賭け率調査はいずれもトラス氏の圧勝を示唆していた。予想以上の接戦となったことからは、今後の政権運営が一枚岩ではないことがうかがえる。
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