岸田政権「旧統一教会断絶宣言」重なる歴史の意味 日本人は「敵と味方」峻別してきたのか
1982年には、ニューヨークタイムズでもワシントンポストでもない新しいニュースペーパー「ワシントンタイムズ」を創刊すると、共和党を強く支持する読者層に受け入れられる論陣を張っていく。レーガン大統領は「毎朝、最初にワシントンタイムズを読んでいた」と言われるほどだ。
日本政界に続きアメリカ政界にも食い込んでいった旧統一教会の戦略に共通するのは、共産主義という「敵」を定めることで、保守系政治家から「味方」と見なされる立ち位置を獲得していった点であろう。
日本が大切にしてきた価値観
では、日本人は「敵と味方」を峻別する考え方をしてきたのだろうか。日本人の宗教観、日本人の信仰心とはどんなものだろうか。
日本は明治維新から1945年の終戦まで、それこそ「敵と味方」を明確にわける一神教的国家神道を推し進めてしまった。それが破滅の道であったことは、あえて述べるまでもないだろう。
古来より日本人は八百万の神々にみる多元的価値観を大切にしてきた。大自然を含めた八百万の神々は、時に喧嘩をしながらも、最後は自律的な調和へと秩序を構築していく。更にその道は森羅万象、目に見える世界から目に見えない世界までをも貫く宇宙の理へと繋がっている。一神教たる旧統一教会の「地上天国」とは、およそ真逆の国家観だと言っていいだろう。
やや抽象的な論考になってしまったが、岸田首相の「統一教会との関係を絶つ」という決断は、一神教的な価値観から脱却し、日本という国が本来持っていた多元的価値観を取り戻す、1つのきっかけになりうる。
岸田首相には、是非とも踏ん張ってもらいたい。
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