SNSは誤情報やフェイクニュースで溢(あふ)れかえり、今や誇大宣伝装置と化している──。データサイエンスの研究者であり、国際的なITビジネスに携わる起業家でもある著者は、そう警鐘を鳴らす。原題にある「Hype Machine(ハイプマシン)」は誇大宣伝装置を意味する著者の造語で、SNSやスマートフォンなどによって構築されるリアルタイムコミュニケーションのシステムを指す。
恐るべき調査の結果
2018年3月、著者らはある論文で科学雑誌『サイエンス』の表紙を飾った。ツイッター上で広まった事実確認可能なすべての噂の真偽を検証し、その拡散の仕方を分析した研究だ。対象はサービス開始からの約10年間(06〜17年)に、300万人の人々が450万回のツイートで拡散した、12万6000件のデータだ。
この大規模調査の結果は恐るべきものだった。明らかになったのは、フェイクニュースはその種類を問わず、真実のニュースよりもはるかに速く・遠くまで拡散し、より多くの人々の心に深く浸透しているという現象だった。
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