三田国際「プロティアン・キャリア教育」で自律的にキャリア築く力が育つ理由 内田雅和教頭「社会の変化に対応していくには」

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「目指しているのは、職業人と触れ合うことによって、生徒の社会や職業に対する思考の幅を広げることです。働くということは社会的にどんな意味があるのか、働くことによって人は何を得られるかといったことを、生徒が自分なりに考える機会にしてほしいと思っています」

同様に3年生の「学問研究」においても、グループで大学訪問をするとともに、興味を持った大学教授がいるときには、生徒がアポイントを取って教授の元を訪問するといったことが行われる。そして1年生と同じく、学園祭のときに2年生は「職業研究」、3年生は「学問研究」をテーマに、1人10分間のプレゼンテーションに取り組む。

「学園祭でのプレゼンは、高校1年生では学年の代表が『自分の将来ビジョン』をテーマに行います。これでキャリア教育にはいったん区切りをつけ、2年生以降はこれまで培ってきた自己理解や仕事、学問への理解を踏まえたうえで、自己の進路実現に向けて取り組んでいくことになります」

学園祭のときに中学1年生は「自己理解」、2年生は「職業研究」、3年生は「学問研究」、高校1年生では学年の代表が「自分の将来ビジョン」をテーマに1人10分間のプレゼンテーションを行う

なお三田国際ではキャリア教育だけではなく、普段の授業においてもPBL(問題解決)型授業を数多く採り入れるなど、生徒に対して、さまざまな社会課題に目を向けさせ、その解決策を生徒自身に考えさせることに力を注いでいる。

プロティアン・キャリア教育は、今後も進化を続けていく

このように三田国際のプロティアン・キャリア教育は、他者との関わりの中で自己や社会に対する理解を深め、またリフレクションやプレゼンテーションの機会を数多く設けることで、自分のキャリアに対する考えを言語化する力を磨いていくことを重視しているといえる。

15年度の校名変更時に入学してきた1期生たちは、現在は同校を卒業し、ちょうど20歳前後の年齢に当たる。「卒業生たちを見ていると、その多くが自らのキャリアを自律的に歩もうとしていると感じる」と、内田氏は話す。

例えばある卒業生は、持続可能な食のあり方や、多様な価値観や生き方を受容できる社会をどう実現していくかというテーマを持って、大学での学びに取り組んでいる。卒業後は起業を視野に入れつつ、一方で就職をするという選択肢も捨てずに、自分が進むべき道を考え続けているところだという。

また同校の卒業生の場合、プロティアン・キャリア教育を通じて、自分が大学や社会でやりたいことを明確に言語化できていることもあり、総合型選抜入試の合格者数が多いのも特徴だ。

「取り組みに対する手応えは感じています。ただしプロティアン・キャリアが目指すのは、社会の変化に柔軟に対応していくことです。本校のキャリア教育についても、『今のやり方でいい。変える必要はない』と決めつけるのではなく、社会や生徒の状況を見ながら、つねに進化し続けていきたいと考えています」

(文:長谷川敦、注記のない写真:すべて内田氏提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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