長引くコロナ禍と物価高騰で「食べるものに困る」、子どもの貧困の深刻な実態 機会の平等がなく「自己責任」は成り立たない

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困窮家庭ではコロナの影響が長期化

調査では、コロナによる子どもへの影響も聞いている。最も多い回答は「学力が落ちた」32%に続き、「授業についていくのが大変になった」が25%、「学校に行くのを嫌がるようになった」が22%だった。「学校を休みがちになった」(19%)、「学校に行かなくなった」(8%)という回答もあり、不登校なども心配される。

今年3月、文部科学省は学力の変化を見る「経年変化分析調査」(小学校6年生〈国語・算数〉と中学3年生〈国語・数学・英語〉に実施)の結果を公表し、コロナによる長期休校の影響は顕著に見られなかったとした。

だが、休校中やその後についても、家庭内や塾などからフォローが得づらい困窮家庭では、学校の勉強だけで学びの遅れを取り戻すことが難しかった可能性がある。また前出のキッズドアの調査では、コロナによる子どもへの影響について、全体の7割が悪い影響があったと回答しており、「悪い影響があり、現在も継続」が37%もいることからも、コロナの影響が長期化していることがわかる。

夏休みなどに多様な経験をする機会も不足しがち

こうした困窮家庭の子どもたちは、夏休みをどのように過ごしたのか。調査では、夏休みに予定しているアクティビティーについても聞いているが、「とくになし」が49%だった。もちろん、コロナ禍で旅行などを控えている可能性はあるだろう。だが、困窮家庭の子どもたちは、経済的な理由で教育だけでなく、多様な経験をする機会が不足しがちだといわれる。

その傾向は、子どもの習い事や部活動の状況について聞いた項目からもわかる。今の子どもは忙しく「1週間のうち習い事がない日はない」という子も珍しくないが、困窮家庭では「(塾を含む)習い事や部活動をしていない」が39%だった。

調査では、習い事や部活動で保護者が困っていることも聞いているが、「月謝などの費用」が69%で最も多く、「ユニフォーム・シューズ・楽器などの用品」が51%、「習い事・部活動のための食事やおやつ」が30%、 「遠征・合宿などの費用」が27%と費用に関する項目の数字が高かった。

実際、経済的な理由で習い事や部活動に支障が出た経験についても聞いており、「好きな習い事や部活動をやらせてあげられなかった」が51%で最多で、「ウェアや靴、楽器などを我慢してもらった」が46%、「習い事や部活動をやめてもらった」22%、「遠征・合宿に参加させてあげられなかった」15%だった。

「ウェアや道具など、中古でも構わないので支援いただけると助かる」「クラブ活動や習い事に対して、一律で少額でも補助いただけると非常に助かる」「習い事、部活費用のために児童手当を高校卒業まで延長してほしい。金額も上げてほしい」などの費用や購入の補助を求める自由回答もあった。

「泳ぐのが苦手でスイミングを習いたいと言っているが、月謝が用意できない。無料で夏場だけでも教えてもらえるところがあれば……」「プログラミングをやりたがっているが、月謝が高くて受けさせてあげられません。どこか近所のコミュニティーセンターなどで格安で習えないか探している」「高校生の塾が高額で行かせられないので、オンラインで教科ごとなど専門的に支援してもらえる場所があると助かる。教育系のYouTube動画などを見ているがより詳しく質問などできたら助かる」など、子どもの要望を費用面から断念せざるをえず、無料または安価にできる習い事や体験の場を求める声が多くあった。

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