海外のプロも注目するドラマーYOYOKA、12歳で米国に拠点を移す真意 才能だけで突き抜けられる道のりをつくりたい

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いろいろな選択肢を検討したが、海外からのオファーが増え続け、章文さんはYOYOKAさんの将来のために、14年間勤めた公務員を辞めた。未成年が1人で海外で活動するのは現実的ではないし、もともと家族でYOYOKAさんの音楽活動をサポートしてきたため、世界への挑戦も家族というチームで取り組む以外にないと考えたからだ。

ところが、いざ世界へ打って出ようとしたタイミングでコロナ禍に見舞われ、海外からのオファーはすべて中止、ライブ活動もできなくなる。先行きが見えない状況にYOYOKAさんはかなりフラストレーションがたまり苦しんだが、これを機に改めて米国での挑戦の決意を固めたという。

しかし、米国移住は簡単なものではない。18歳以下の子がロックの分野で世界に挑戦するという前例が日本にはなく、いろいろな壁にぶつかった。

「まずは資金面。国内の支援金は18歳以上が対象、かつ学業に関する資金の補填やクラシックに限定したものが多く、ほとんど利用できるものがありません。そのうえ今は円安の影響も大きいです。また、YOYOKAの渡米の目的はプロの音楽活動なので、学生ビザではなく就労ビザが必要なのですが、とくに米国はこの取得が本当に大変なのです」(章文さん)

YOYOKAさんは、米国ではアート系の公立学校に籍を置き、外部で音楽活動を展開していく考えだが、これにはアーティストビザというものが必要になる。この取得が非常に難しく、シンディ・ローパーさんなどセッションで知り合った世界的に著名なアーティストのほか、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんやダンスパフォーマーの蛯名健一さんといった米国で活躍する日本人も含め計十数名に推薦状を書いてもらうなど、さまざまな関係者の力を借りたという。

マルチプレーヤーのアーティストになり前例をつくる

最近ようやくビザが取得でき、早ければ8月末にも渡米する予定だ。YOYOKAさんは今、こう思う。

「これからも多くの苦労があると思いますが、楽しみながら活動したいです。今後はドラマーにとどまらず、作詞・作曲して歌ったりいろんな楽器で演奏したり、レコーディングやMV制作まで手がけるようなマルチプレーヤーのアーティストになるのが夢。そして音楽を通して、これまで海外で実際に目にしてきた貧困や差別を世界から少しでもなくしたいです。そうやって私が前例となり、18歳以下でも才能だけで突き抜けられるよう、後進に少しでも楽な道のりをつくってあげることができたらと考えています」

一方、生まれ育った日本も北海道も大好きだというYOYOKAさん。音楽活動を理解し支えてくれた学校にも感謝しているという。最後に日本の教育の課題について聞くと、こんな答えが返ってきた。

「今の学校は既存の教科や内容にとらわれすぎているように感じていて、例えば音楽なら、ロックなどクラシックやポップス以外の世界もあることを教えてほしいですね。授業も生徒同士で教え合ったり、ときには生徒が先生に教えたりする時間があってもいいと思います。また、先生は勤務が長すぎて、疲れているのは私たち子どもにも伝わってきます。副業もダメだし、外の世界に目を向ける時間が少ないのではと感じます。もっと休んでいろんなことを学べるとよいのではないでしょうか。ムダな雑学をたくさん知っている大人ってすてきですよね。私もそんな大人になりたいと思っています」

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