海外のプロも注目するドラマーYOYOKA、12歳で米国に拠点を移す真意 才能だけで突き抜けられる道のりをつくりたい

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YOYOKAさんも、「演奏中はいつもドローンで上から見ているような感覚で、不思議なことにその絵が記憶として残っています」と言う。没入しすぎず、どんな状況でも客観的に全体を見てしまう理由は自分自身でもわからない。

「ただ、ほかの演奏者としっかりアイコンタクトをすることは強く意識しています。そうすれば相手も自分も安心できるので。そういえば学校でも同級生から“お母さん”と呼ばれていて、全体の人間関係のバランスを取って見守るようなところは小さい頃からあります。そう考えると、バンドの潤滑油ともいえるドラムは合っているのかもしれません」(YOYOKAさん)

そのスタンスは、日頃の音楽への向き合い方においても垣間見える。ストイックにドラムをたたき続けることはなく、ドラムの1日の練習時間は30分程度で、ほかの音楽に触れている時間のほうが長いのだという。

「例えば、ギターやベース、ピアノを弾いたり、作曲したり。音楽もたくさん聴きます。そういった時間を入れると音楽に費やす時間は膨大です。練習より本番が好きだということもありますが(笑)、ほかの楽器からインスピレーションを得たり、全体の中のドラムの立ち位置が学べたりするので、ドラム以外の音楽に触れる時間はとても大切です」

さまざまな角度から物事を見ようとする力は、読書で培われた面もあるのだろうか。小学校の6年間で、学校図書館で借りた本の数は1155冊。さらに地元の図書館で毎週30冊ほど借りるので、かなりの数に上る。好むものも音楽とは異なる分野が多く興味深い。

「菌類や生物、解剖関連の図鑑、漫画なら手塚治虫などが好き。最近は星新一のショートショートを読み始めたのを機に、小説も面白いと思うようになりました」(YOYOKAさん)

「センスも英語も養うには高校や大学では遅いと思った」

そんなYOYOKAさんは今、米国のロサンゼルス近郊へ家族で移住する計画を進めている。しかし、なぜ中学生になって間もないこのタイミングなのか。

「ロックの本場である米国で、純粋にチャレンジしてみたいのです。また、私が海外で音楽活動を行う中で、宗教、人種、セクシュアリティーなどいい意味でも悪い意味でも多様性があり、『世界にはこんな場所があるんだ!』といちばん衝撃を受けたのが米国でした。とくに西海岸には世界中から才能や個性のある人たちが集まってきます。そこで、いろんな人たちと交流してインスピレーションを受けながら、自分の音楽の能力やセンスを磨きたいと思っています」(YOYOKAさん)

これまで海外メディアの取材やレコーディングの際に、英語力が及ばず後悔したことが多々あり、自分の言葉で発信するために英語力を上げたいという思いも強い。「12歳という感受性が強く、吸収力がある時期に行きたい。センスも英語力も養うには高校や大学からでは遅いと思ったのです」と、YOYOKAさんは言う。

2019年にCMの撮影でニューヨークへ行った際の一コマ

海外移住を意識するようになったのは、やはり世界で注目されるようになった2018年ごろからだ。それまで日本のドラムコンテストでは受賞したことがなかったが、海外から評価されオファーが続く中で、「サッカーで才能のある人が本場の海外を目指すように、ロックの本場である米国にまず飛び込むことがYOYOKAにとってベストなのではないかと、本人も私たち家族も徐々に考えるようになっていきました」(章文さん)。

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