米国が1980年代初頭以来の高インフレに直面する中で、当時のFRB(米連邦準備制度理事会)議長だった故ポール・ボルカー氏の功績が改めて注目されている。同氏が進めた果敢な利上げは、景気後退を伴いつつも、米国がインフレ退治に成功した事例として記憶されている。
そのボルカー氏が、公的機関の改革をライフワークとしていたことは忘れられがちだ。1987年にFRB議長を退任した同氏は、公的機関の改革に関する有識者委員会の代表を2度にわたって務めている。2018年刊行の回顧録でも、後世に伝えたい3原則として、「物価の安定」「健全な金融」と並び、「よき政府」を挙げている。
公的機関に対する信頼回復の必要性
ボルカー氏は、米国の美徳である民主主義と法の支配を支える基盤として、公的機関に対する信頼の回復の必要性を提唱し続けていた。公的機関への信頼があってこそ、国民は民主主義や法の支配を尊重する。ボルカー氏の懸念は、公的機関の機能が低下し、国民の信頼を失いつつある点にあった。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら