シンガポールで「リー王朝」後を担う異例の庶民派 内憂外患が高まる中で「普通の国」への転換進む

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シンガポールの舵取りを託されたのは「非エリート」のローレンス・ウォン財務相(写真:Bloomberg)

シンガポールで歴史的ともいえる指導者の交代が進みつつある。

紆余曲折の末、2022年4月に建国の父リー・クアンユーの長男、リー・シェンロン首相(70)の後継者として、ローレンス・ウォン財務相(49、6月からは副首相を兼務)が固まった。

リー首相の息子の一人は政府部門で働くが今のところ政治へ関心を示しておらず、今回の禅譲が「リー王朝」の終わりを意味する可能性がある。

異例の庶民派がトップに内定

リー親子はともに輝かしい経歴を誇る。裕福な家庭で育ち、幼い頃よりエリート街道を突っ走って英ケンブリッジ大学を最優秀の成績で卒業した。ウォン氏の来歴は対照的だ。

セールスマンの父と教師の母の間に生まれたウォン氏が幼少期を過ごしたのはシンガポールの中心街から外れた、沿岸のマリンパレード地区。訪ねてみると、周辺では地下鉄の駅が建設中で、いまだにバスが主要な交通手段というやや辺鄙なエリアだった。

林立する公団住宅(HDB)を見上げると、あちこちで衣服のぶら下がった物干し竿が伸びており、「庶民の町」感が漂う。

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