ユーロ、20年ぶりの「パリティ割れ」で迫るXデー ECB理事会、ロシアのガスとイタリア政局に注目
ユーロ・ドル相場は7月13日に1ユーロが1ドルを割り込む展開に。「パリティ割れ」は2002年以来のことで、欧州の抱える難題を反映している。今週はロシアからのガス供給と混乱するイタリア政局に注目が集まる。
7月13日の外国為替市場ではドル買いユーロ売りが加速、一時、2002年以来となる1ユーロ=1ドルを下回るパリティ(等価)割れを記録した。
アメリカの6月消費者物価上昇率は前年比プラス9.1%と40年ぶりの水準に加速し、今後も連邦準備制度理事会(FRB)は積極利上げを続ける可能性が高まった。一方で、欧州中央銀行(ECB)は7月の利上げ開始を明言しているものの、欧州ではロシアからの欧州向けガス供給の停止リスクが高まるなど、利上げ継続は難しくなるとの見方が広がった。
ここにきて、ユーロの新たな不安要素として浮上しているのが、イタリアの政局不安だ。
ドラギ首相の挙国一致政権を支えている左派ポピュリスト政党「五つ星運動」が14日の内閣信任投票を棄権し、政権への支持を取り下げた。政権を支える主要政党の造反を受け、ドラギ首相は辞任の意向を大統領に伝えた。いったんは大統領に遺留されたが、近く改めて内閣信任投票を行い、議会の過半数の支持が得られない場合、辞任する可能性が高い。
定期点検終了後、ガス供給は再開されるのか
以下では、今後のユーロ相場を占う、エネルギー調達とイタリア政局という2つの要因について考察したい。
ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム」は11日、定期点検のために欧州向けのガス供給を停止した。欧州の政府関係者の間では、10日間の点検期間が終了する7月21日以降も、ロシアが欧州向けのガス供給を再開しないことが警戒されている。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら