教育活動にどう生かすか、教員こそ「学校教育を俯瞰して見る」力が必要な訳 「教師力」を高める総合的な人間力を培うには

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小・中学校、高等学校の教員などを対象に10年ごとの講習を義務づけていた教員免許更新制が廃止されることになった。その代わりに教員の研修記録の作成が義務化され、今後は管理職と相談しながら研修計画を策定することになるという。そんな中、「教員のスキルアップにつながらない学びなんてあるのか」と話すのは、22年4月に開校したオルタナティブスクール、ヒロック初等部校長の蓑手章吾氏だ。教育界以外からも積極的に学ぶよう心がけてきた蓑手氏に、教員の学びのあり方、スキルアップについて語ってもらった。

前回は教師の働き方について書きました。そこでも話題に取り上げましたが、今回は職能開発=スキルアップについて書いてみます。

この7月に、教員免許更新制が廃止されることとなりました。実は私自身は、公教育現場に14年いましたが、在職中に複数の教員免許を取得した事情もあって免許更新を受けたことはありません。

あくまで私の周りの現場での話ではありますが、それでも30時間以上の講習による勤務時間の圧迫は、ほとんど有給休暇を取れない今の学校現場にとっては、かなり厳しいものだと感じました。また、受講者数の多さから魅力的な研修はすぐ満席になってしまい、興味のないものでも受講しなければならなくなってしまうシステム上の問題や、3万円以上の費用を自己負担する仕組みなど、当初から多くの教員を悩ませてきた印象があります。

「教員のスキルアップにつながらない学び」なんてあるのか

今回、教員免許更新講習に代わる形で「教員の研修履歴管理システム」が導入されました。これは、教員免許更新講習の廃止に伴う教員の資質低下を不安視する世間の声に応えるためのものと考えてよいでしょう。校内外やオンラインで受けた教員研修の履歴を一元的に記録、管理する仕組みで、内容は「学校管理職との対話により決定する」そうです。

一般的にあまり知られていませんが、日本の公立学校教員は海外に比べ、学校全体としての研究や研修を多く行っているといわれています。学校内の教員同士で授業を見合って議論する「校内研究」や、地域のほかの学校教員と教科などに絞って研究を深める「地区教育研究会」などを行っており、研鑽し合う職員文化は海外からも注目されています。

それ以外でも、夏季休暇中などにいわゆる“官制研修”に申し込んで研鑽を積む教員も多いです。これらのすでに行っているような取り組みを認め、ICTを活用して自動的に履歴として残すのであればまだわかりますが、これ以外に追加で研修を求めたり、研修履歴を管理する負担が増えるだけであれば悪手としか言いようがありません。現場の多忙感を無視した形だけの制度になってしまうでしょう。

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