横浜市「部活の地域移行」で実践研究、「受け皿や人材確保」で企業にも好機 リーフラスは全国延べ684校で部活支援の実績

時間外勤務が月80時間超えることも「休日の部活動」見直し必須
1学期も半ばを過ぎた、ある日曜日。神奈川県横浜市立鴨志田中学校では、バドミントン部の生徒が体育館で汗を流していた。よくある公立中学校の週末のワンシーンだが、指導しているのは教員ではない、外部指導者だ。

横浜市は2021年度から、スポーツ庁が進める「地域運動部活動推進事業」の実践研究に参加している。現在は、その一環で市内の3つの中学校の6つの部活動で、外部指導者が休日の部活動を指導しているという。その1つの鴨志田中では、バドミントンに加えてサッカー、男子バスケ、女子バレーの4つの部活動で、外部指導者が週末の部活動を実施している。校長の浜崎利司氏は、こう話す。

横浜市立鴨志田中学校 校長
「横浜市から実践研究の参加を呼びかける通知があった際、これはぜひ希望したいと思いました。先生方の時間外勤務が月80時間を超えることもあり、土日の部活動のあり方を見直す必要があると考えていたからです。とにかく先生方に休みを取らせたい。顧問の先生にもプライベートがありますし、土日に休みが取れるようになれば心身ともにリフレッシュできます」
これまで横浜市も、何もしてこなかったわけではない。19年に「週に平日1日以上、土日1日以上の休養日設定」「1日の活動時間を平日2時間程度、休日3時間程度とする」を原則とする部活動ガイドラインを出したほか、延べ643人(21年度実績)の部活動指導員を任用し、市内約97%の中学校で活用してきた。顧問の先生に加えて補助的に技術指導をするなど、おおよそ1校に4〜5人ほどの部活動指導員が入り活躍しているという。
「ただ、部活動指導員は基本的に学校側で探す必要があり、見つけるのも大変です。ですので、この事業はありがたいと思いました。インストラクターが専門的に教えてくれるのは、子どもや保護者にとってもいいことです。部活動の運営については、校長の私から『ブラック部活動にはしない』『勝利至上主義にはしない』などと保護者会で説明をしてきました。休日の部活動にインストラクターが入ることも、保護者の理解を得られるように心がけています」(浜崎氏)
実際、現場の教員はどう思っているのだろうか。19年に鴨志田中に着任後、バドミントン部の顧問を務める教諭の太田彩貴氏は「今まで休日の部活動はあって当たり前でしたが、今は気持ち的にも余裕ができてゆっくり休めている」と話す。また太田氏は、陸上競技の経験はあるもののバドミントンは未経験のため、これまで指導に不安があったと話す。