中高生が自力で200万円以上の資金調達まで行う国際ロボコン「FRC」の凄み 参加過程のすべてが「STEAM教育プログラム」

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チームラボは最初の支援活動として、高校生対象のロボット競技会「FIRST GLOBAL CHALLENGE」の参加チームをサポート。そのときの活動風景

海外ではFRCの認知度は高く、例えばAmazonやGoogle、Apple、NASAなど大きな企業や団体が大会運営や参加者の活動をフルサポートしている。しかし日本は、企業が支援によって税金の控除が受けられるシステムが米国ほど整っていない。「中高生では採用までに時間がかかる」と考え投資をためらう企業も多く、海外に比べ日本チームへの支援は足りていないのだという。

「例えば、eスポーツでは日本チームが世界3位となった途端に注目度が一気に高まりましたが、FRCも日本チームが優秀な成績を残せばニュースになり知名度も上がるはず。今は企業からの資金調達が難しい状況ですが、将来的には協賛企業が増え、グローバルに負けないサポート環境が整うことを願っています。だからまずは、世界大会でもいい成績が残せるよう、現在の日本チームたちをできる限り支援していきたい。それが、日本の将来を担う人材の育成につながればと思っています」(山田氏)

FIRST Japanも思いは同じだ。ただ、日本では課題も少なくない。事務局長の近藤敬洋氏は次のように語る。

「日本でもロボコンはたくさん開催されていますが、どうしてもバトル的なホビーの域を抜け出ていません。世界のロボコンは日本のそれとはまったく違うもので、科学技術の1つ、社会的課題を解決する手段として捉えています」

FIRST Japan事務局長の近藤敬洋氏
(撮影:梅谷秀司)

欧米ではすでにコンピューターサイエンスやロボティクスの授業などが公教育の場でも当たり前となっており、質量ともに日本は大きな後れを取っている。日本も小中高とプログラミング教育が導入され、STEAM教育の強化が叫ばれているが、カリキュラムや教員人材、教材などが欧米と比べまったく足りていないという。FIRST JapanはFRCを通して日本にSTEAM教育を浸透させることを目指しているが、そのためにも地域や企業の支援が欠かせないと近藤氏は言う。

「米国では企業がCSRの一環としてスポンサーになったり、技術メンターを提供したりなどは当たり前で、企業の方々が生のエンジニアリングを子どもたちに伝えています。FRCは地域の活性化、地域創生のツールとしても機能しますので、学校、企業、そして地域のリソースをつなぎ合わせて地域コミュニティーを創出し、日本の将来を担う子どもたちを育成していきたいと考えています」

(文:國貞文隆、注記のない写真:NPO法人FIRST Japan提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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