中高生が自力で200万円以上の資金調達まで行う国際ロボコン「FRC」の凄み 参加過程のすべてが「STEAM教育プログラム」

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2022年4月に開催されたハワイの地区予選大会には、SAKURA Tempesta、SAZANKA Robotics、Yukikaze Technologyの3チームが日本から参加

FRCの出場経験者は、海外の大学や国内トップクラスの理工系大学に進学するケースが多く、その後は国内外でエンジニアとして活躍する人材も出てきているという。中には大会を機に新たな道を切り開く若者も少なくない。その1人が、米国のリベラル・アーツ・カレッジ、マカレスター大学で神経科学などを学んでいる中嶋花音さんだ。現在、FIRST JapanでFRCチームメンターとFRC委員も務めている。

中嶋 花音(なかじま・かのん)
2016年~19年にFRCに参加し、数々の賞を受賞。17年、FRC Team 6909 SAKURA Tempestaを設立。18年からFIRST JapanにてFRC委員会委員とFRCチームメンターを務める。19年、孫正義育英財団3期生に選抜、米マカレスター大学入学

中嶋さんが初めてFRCに参加したのは、高校1年生の頃。交換留学先の公立高校にFRCの部活動があり、友人に誘われて参加した。当初は動画編集を中心に活動していたが、しだいに技術のハード面も手伝うように。「その中で、エンジニアリングが自分の手に届く分野であることに気づきました」と、中嶋さんは話す。そして帰国後の17年にFRCチーム「SAKURA Tempesta」を立ち上げ、世界大会3年連続出場を果たした。

FRCは毎年1月にルールや社会課題に沿ったテーマが英語で発表され、そこから参加者はロボット製作やプログラミングをスタート。そして3月~4月初旬の地区予選に通ると、4月下旬の米国での世界大会に出場できる。大会終了後は、次のシーズンに向けた技術講習会、メンバーやメンターのリクルーティングなどを行う、という流れになっている。

中嶋さん(左下)は3回連続で米国世界大会に出場

「FRCの活動で得ることができたいちばんのスキルは、コミュニケーション能力、そして自分がやりたいことがどんなに困難に見えても突き進むことができる力です。仲間の存在が大きかったですが、工学という分野をまったく知らず、物理ができるわけでもない私でも、参加して数カ月でまったく違う視点を持つことができ、自分が夢中になれることを見つけることができました」(中嶋さん)

FRCにはもう1つ、アウトリーチという重要な活動がある。自分たちが住む地域やコミュニティーで学んだスキルを活用したプロジェクトを行う社会貢献活動で、ここを評価する「Regional Chairman’s Award」という賞も用意されている。中嶋さんは、企業とのロボットワークショップの開催やイベント出展のほか、マララ・ユスフザイ氏やディーン・ケーメン氏との対談などのアウトリーチ活動が評価され、この賞を2回受賞している。

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