ソニー・新PSPの勝算、スマートフォンは敵か味方か
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の後継機を発表した。「Next Generation Portable(NGP)」と名付けられた新型機。特徴を一言で表すなら、あらゆる機能の“全部入り”だ。
前面のタッチパネルに加え、背面にもタッチパッドを搭載。各種センサーを内蔵し、機体を傾けて操作できるなど直感的な操作性を実現。任天堂の「ニンテンドーDS」や「Wii」のような遊び方が可能になった。
ディスプレーには、PSPの4倍の解像度に当たる有機ELを採用。処理能力はスーパーコンピュータ並みといわれた自社の据え置き型ゲーム機「PS3」に匹敵する。インターネットに簡単につなげるように、携帯電話の3G回線も導入した。「究極のポータブルエンタテインメント体験を提供できる」と平井一夫社長が語る自信作で、任天堂が2月に発売する「ニンテンドー3DS」との勝負に挑む。
ライバルが続々登場
ただし、敵は任天堂だけではない。ゲーム業界は目下、地殻変動が進む。エンターブレインによると、2010年のゲーム市場規模(端末とソフト合算)は前年比9%減の4936億円と苦戦。背景の一つには、モバゲーなど携帯電話で遊ぶソーシャルゲームや、アップルの「アイフォーン」などスマートフォンで楽しめるゲームの台頭がある。
その対応策として、ソニーがNGPと同時に発表したのが、「プレイステーションスイート(PSS)」だ。米グーグルの携帯電話向けOS「アンドロイド」やNGPを通じ、過去のタイトルなどをスマートフォンで遊べるようにする。「NGPで究極のエンタメ体験を追求し、PSSでは量を追求する」(平井社長)。PSSでゲーム人口を底上げし、その一部をNGPへ誘導するのが狙いだ。